真昼の月へと浮かび上がった 真っ白に光る月光蟲 「こころを一房噛みちぎって、届けに行くのだ。」と、いうのです。 グリグリメガネの郵便屋は 「おれが伝える。」と声をかけた でも、ひらり飛んでったそのあとには 椨(たぶ)の灰が残るだけでした。 煙が、また消えた 大人に、ならないんだナァ… 響いた想いが、夜を撫でた。 言葉に成れないまま 土に染みて消えるような想いが、音を立てた。 思い出せるように。 唄え、踊れ、 泣いたりはしないぜ 聞こえるだろう? 戻るつもりは…ないか。 唄え、踊れ、 目を伏せたくらいじゃあ 隠せないんだナァ…。 やがて、想いは滲んだようだ。 夜をかきわけて、赤い火が灯ったら また今日が来ても思い出せるように 言葉に成れないまま、 土に染みて消えるような想いが、音を立てた。 思い出せるように。 その日を超えられるように。