[00:00.00] [00:04.16]夏目:ただいま!あ!あいつら、酒飲み散らかして帰って。もう、ニャンコ先生、寝てないで片付け手伝え!まったく、ん?なんだこの着物?誰かの忘れものか? [00:25.73]??:ん!寒い~ [00:28.22]夏目:っけ!着物の下から、妖怪! [00:31.41]??:うん~誰だもう?引っ張るなよ。うん~う~ [00:40.09]夏目:先生、なんか、変な妖怪が寝てるぞ、起きてくれ! [00:44.65]ニャンコ先生:あ~うん~ [00:50.37]夏目:起きろう! [00:51.89]ニャンコ先生:うぉ!こう~こっこ~ [00:53.44]??:どぉ~なんだ?喧嘩か?喧嘩両成敗。うぁ~喧嘩は良くない、謝っちゃいけない。 [01:00.50]ニャンコ先生:謝ったのはお前だ、いきなり何だ無礼なやつめ。 [01:04.71]??:あら、間違えた。 [01:07.69]夏目:君はいったい…どうして? [01:10.37]??:あ~玲子! [01:12.52]夏目:え? [01:13.57]??:僕です!ツヅレです。 [01:15.21]夏目:あ!悪い、俺は玲子さんじゃない、孫の貴志だ。 [01:19.42]ツヅレ:孫? [01:20.39]ニャンコ先生:玲子は疾うに他界した  [01:23.06]ツヅレ:そんな…本当に?本当に別人?しかし匂いは確かに同じ、それなのに違うだなんって、そんな…あ~では、僕の名前は、如何しよう、どっどっ如何したら、如何したら、どうなるのですか?え!そんな、せっかく、如何して、え、如何したら~ [01:48.49]ニャンコ先生:でも、惜しかった~ [01:50.51]ツヅレ:あ! [01:52.30]夏目:友人帳に名前があるのか? [01:55.47]ツヅレ:あっ!はい!えっ、その、恥ずかしながら、名前を取られたおかげで命拾いしたのも言えるのですが… [02:04.01]夏目:如何言うことだ? [02:05.37]ツヅレ:昔、僕は、そりゃあはもう、うじうじした奴でした、うじうじしていることを気にやみ、ますますうじうじしてしまい、仲間のあやかしすら、自ら遠ざけて、孤立していました。やがて、日々を過ごすのに疲れた僕はこの帯で首を括り、いっそう死んでしまおうかっと思った事もあったほど。 [02:29.50]夏目:え? [02:30.92]ツヅレ:そんな時出会ったのが玲子だったのです。弱っていた私はあれよあれよと名前を取られ、あ、いや、預けさせていただいたっと言った方が正しいのかもしれません。 [02:44.58]ニャンコ先生:そりゃあ、ていよく子分にさせられたなぁ。 [02:47.80]ツヅレ:僕、もうあんな真似しません、誓ってもいい。だから、どうか、名を返していただきたい。 [02:57.07]ニャンコ先生:本当に大丈夫なんだろうな。 [02:59.75]ツヅレ:大丈夫です。だって、毎日こんなに楽しいのですから。 [03:04.60]夏目:あ? [03:05.95]ツヅレ:決してご迷惑になるような真似はいたしません、玲子に頼らずとも、自分のことぐらいは自分でどうにかできるようになったのです。だから… [03:17.31]ニャンコ先生:ふん~だとさ、夏目。 [03:21.53]夏目:分かった、長いこと名を縛ってしまい、済まなかったね。 [03:28.22] [03:31.04]夏目:我を護りしものよ、その名を示せ。ツヅレ、名を返そう、受けてくれ。 [03:50.38]ツヅレ:あ~ [03:54.47]夏目:流れ込んでくる、ツヅレの記憶。 [03:59.90] [04:04.05]ツヅレ:あ~また誰かが僕を嘲笑ってる。 [04:08.08]玲子:違う、あれは人の子よ、あなたのことを笑ったんじゃない。 [04:13.86]ツヅレ:でも、どうせ。 [04:15.84]玲子:あなたも笑って御覧なさいよ。 [04:18.32]ツヅレ:え?あやかしが笑うなんて、気味が悪いよ。 [04:23.09]玲子:ほら、にーって [04:28.04]ツヅレ:えっ、あ、に…にー [04:32.83]玲子:うぇ、うへぇへぇ、ツヅレ、こっちが靨(えくぼ)があるのね、知ってた。 [04:39.24]ツヅレ:え?なんだよ、玲子は、おっお前、如何したんだ?口元に血が、もしや、さっきの人の子にやられたのか? [04:52.04]玲子:違う。 [04:54.24]ツヅレ:玲子、僕と一緒にいたから。あ!よく見れば、これは血ではないな。なんだ?飴か? [05:08.24]玲子:あ?さっきりんご飴食べたから。 [05:12.58]ツヅレ:ふん~ [05:13.39]玲子:笑ったね。人を笑っちゃいけないのよ。 [05:16.52]ツヅレ:やぁ、拗ねるな、はっ、くすぐったい、はぁ  [05:21.22]玲子:えぃ! [05:22.29]ツヅレ:はは~ [05:22.82]玲子:してやるんだから、はぁ~ [05:25.70] [05:27.58]ツヅレ:後日、あやかしの間で玲子さんと言うと恐ろしく、強く、美しい人の子だっと知り。あ!あの人がそうだったのかっと、妙に納得いたしまして。そう、吹っ切れたとでも言うのですかね。とにかく、玲子は、とても楽しそうに笑っていました。 [05:51.05]夏目:そうか。 [05:52.18]ツヅレ:へぇ、最近、僕はあの頃いったい何をうじうじ悩んでいたのか、もはや、思い出せないほどで、今こうして、何事もなく、元気いっぱいなのは、玲子のおかげなのです。 [06:06.01]ニャンコ先生:お前、幸せ者だな。 [06:09.08]ツヅレ:はい! [06:10.03]夏目:あ、はぁ。 [06:11.88]ツヅレ:なんて、あ、本当は、玲子がなんだか悩んでいると言う噂を聞きまして、名前奪還ついでに冷やかしてやろうと思ってきたんですがね。まさか、ねぇ、そんな、うっうっあぅ~、うん~亡くなってしまっててなんて、あぁ、あぁ、うんん~ [06:46.02]夏目:あ、励ましに来てくれて、ありがとう。 [06:48.48]ツヅレ:うんん、いいんです、いいんですよ。ふぅん~泣いてないですから、ねぇ、本当に。えっ、じゃ、僕、帰りますね。 [07:09.55]夏目:そうか、元気で。 [07:12.88]ツヅレ:へぇ、夏目もお元気で、また、いつか… [07:26.58] [07:31.57]ニャンコ先生:玲子め、変な奴の名ばっかり集めやがって、なぁ~あ?夏目、如何した?大丈夫か? [07:42.05]夏目:あ~名を返して、少し疲れただけで、はぁ、大丈夫。 [07:47.15]ニャンコ先生:あ! [07:48.14]夏目:そうだ、俺タイムカプセルに入れる手紙書くんだった。 [07:53.62]ニャンコ先生:おい、そう言えば、そんなこと言ってたな。 [07:56.27]夏目:けど、その前にこの部屋片付けなきゃだめだな。 [08:02.15]ニャンコ先生:まったく、誰だこんなに汚したのは、怪しからん、私ではないぞ、私では。 [08:10.48] [08:10.97]夏目:名を返してやると、妖怪は皆いい顔になる。返してやれて良かったなっと思う反面、不意に、寂しいと思ってしまうのは、俺のエゴだろうか?この先どれぐらい別れを経験するのだろうか。 [08:31.59] [08:33.03]ニャンコ先生:なんだこの汚い帯は、私の座布団が汚れてしまうではないか? [08:38.40]夏目:あ、それ、もしかしてツヅレのじゃないか? [08:41.37]ニャンコ先生:ん!捨てるぞこの物。 [08:44.26]夏目:あ~取りに来るかもしれないだろう。 [08:46.32]ニャンコ先生:好きにしろう。 [08:48.45]塔子:貴志くん、ご飯、出来たわよ。 [08:52.21]夏目:はい! [08:52.70]ニャンコ先生:うぃ、うぃ、うぃ~ [08:55.19] [09:03.72]塔子:どう? [09:04.80]滋:ん~旨い! [09:07.10]塔子:今日ね、これ作ってる途中でケチャップがないことに気が付いてね。 [09:11.32]滋:おや、じゃあ、如何したんだい? [09:13.97]塔子:貴志くんに買って来てもらったの、ねぇ。 [09:16.14]滋:はぁ、はぁ、そうか。大変だったね。 [09:19.78]夏目:そんなことないです。 [09:21.12]塔子:そうしたら、貴志くん、とっても買い物上手で、おやつはね、こんなに買ってきてくれて。 [09:26.77]ニャンコ先生:うっふん~ [09:27.95]塔子:あら、ニャンきちくん、もうお代り? [09:30.12]ニャンコ先生:うん、うん~ [09:33.30] [09:34.05]夏目:ご飯を食べたら、ニャンコ柄のレターセットに、少しだけ書いて見ようと思った、未来の自分に、今の自分のこと。 [09:47.24]