夏目:よーし、書くぞ。うゎ、またお前たち。 ヒノエ:お帰り夏目、昼間っから飲むのもいいけど、片付いた部屋で、窓越しの月見酒ってのも、悪くないね。 ミスズ:夏目殿、この酒、農耕でいて円やか、実に美味、味見だけでもいかがかな?あ~ 夏目:ミスズ、それ、ミネラルウォーターって書いてある。 ちょび:夏目殿、私の裂烏賊(さきいか)が見当たらないのであります、実に不思議になるであります、ん~ ニャンコ先生:ん~ん~、と言うふうに、不思議だな~ん~ 夏目:ちょび、すまん、たぶん先生の口から食み出してるのが、探しものだ。 ちょび:お!お!なんと言うことでありましょう。泥棒猫なのであります、返せ! ニャンコ先生:ん~ 中級:夏目様、夏目様のおかけで、我慢元気にタダ酒が旨いなさい。(ちょび:ほら、返せなさい、猫。) 中級:まぁ、美味し。 夏目:あ、それは良かった。 ヒノエ:夏目、歴史絵巻はいいからも、こっちで借間一つもしておくれよ。 ニャンコ先生:夏目、摘みが足りんぞ買ってきてくれ、あ、それと酒も追加だ、追加~ 夏目:俺は集中して書きたいんだ~ ちょび:返せ、返せ、猫。私の裂烏賊(さきいか)を返して、こら! 夏目:小さい頃は、想像できなかった、少し先の毎日のこと、忘れたくないことや、大切に思っている人、存在のこと、書き始めたら、止まらなくなった、何度も書いては消して、ようやくでき上がったのは、先生たちが、酔いつぶれた頃だった。 妖怪たち:ん~、ん~ 夏目:できた。 妖怪たち:ん~、ん~ 西村:お早う~ 夏目:お早う、ご機嫌だな、西村。おれ?笹田、どうかしたのか? 西村:あのタイムカプセル、壊れちゃったんだって。 夏目:え?壊れたって、そうか、それで笹田落ち込んでるのか。 西村:なんか、試しに蓋閉じてみたら、開かなくなっちゃって、無理に抉じ開けようとしたら、壊れちゃったんだってさぁ、あぃ、やぁ~残念だ、実に残念のことです。 笹田:あ~、楽しみにしてたのに?  多軌:え!今の話、本当? 西村:うゎ、五組の多軌さん。 多軌:ねぇ、笹田さん、タイムカプセル、一緒に作りましょう、私、お手伝いする。 西村:え? 笹田:あ~多軌さん! 多軌:笹田さん。 北本:多軌さんやるな。 田沼:よー 夏目:田沼 田沼:壊れちゃったのか、タイムカプセル? 夏目:みたいだな。 田沼:俺、書いたんだけどな、手紙。 夏目:俺も、ほら! 田沼:お!可愛い便箋だな、ポン太マークか? 夏目:田沼のは? 田沼:へぇへぇ、俺のは普通の。 西村:田沼、その封筒お年玉袋だぞ。 北本:ん?あれ、たくさん書くのやめちゃったんだ? 田沼:いや、たくさん書いてみたけど、本当に伝えたい言葉って、少ししかなかったんだ。 皆:お~ 田沼:なんだよ? 皆:お~ほぉほぉ 田沼:なんだよ? 北本:あれ、なんだこの封筒、西村悟様 西村:あ? 北本:なんだ西村、ちゃんと書いてるじゃないか。 西村:あ~あ~止めて、あはぁはぁ、恥ずかしいから見ないで、あ~止めて。 夏目:ははは~ 夏目:タイムカプセルイベントは、その後、笹田や多軌など、優秀メンバが頑張っていたようだが、結局お流れになってしまった、少し残念だったけれど、ほっとしたような気がする。タイムカプセルには入らなかったけれど、この手紙にはきっと、掛替えのない今が詰まっている。 西村:お!一時間目体育だ、行こうぜ。 北本:今日は合同だから、田沼も一緒だよな。 田沼:あ、そうだった。俺体育着取ってくる。 西村:夏目、俺たち先行ってんぞ。 夏目:あ、すぐ行くよ。 夏目:拝啓、夏目貴志様 田沼:ん、夏目 夏目:あ、行こう。 夏目:俺は今、毎日、とても幸せです。