きらめく星降る夜に あなたに/お前に物語る 小さな恋のおはなし 今夜は西の森にお星様が降るらしいと ねえさまたちは頬染めて口々にそう呟いた 願いごとを叶えてくださる不思議なお星様 教えて頂戴な わたしのいとしい運命のひと どんなに恐ろしい姿をしていたとしても わたしはきっと彼のことを見つけてキスをするのだわ 嗚呼いとしい運命のひと はやくここに逢いにいらして 嗚呼まだ見ぬ運命のひと 逢いたいわ そういますぐに! 空駆ける流星群 鼻先を擽(くすぐ)るしずく こんな夜は目を閉じ叶わぬ夢に身を焦がす 独りが寂しいといつから思い始めたろう? そうじゃない!俺は狼さ 少しそう少し飽きただけ 甘やかな願いごと 牙で隠して生きていく これからもそうさ俺は誇り高き一匹狼 漸く逢えたわ いとしいひと どんな味がお好みかしら? 砂糖漬け 塩胡椒 如何様にも 御好きなように さあ、召し上がれ! お生僧様、お前みたいな 痩せたガキ食べる気も起きないぜ やめたやめた!興(きょう)が削がれた 早く帰りな仔羊さん あらまあ遠慮なさらないで! 優しく牙を立てて、さあ、ほら! なんだこいつ!こら、ついてくるなよ! 美味しく食べてね いとしいひと 流れ星の起こした気まぐれ ちぐはぐな二人 おおかみとひつじ さあ召し上がれ プライドが許さない 食べて良いのに… 逃げて良いのに… 噛み合わない二人 でも離れられない これが まさか 運命の出逢い あなたに逢うことずっと夢見てたの 思い描いた通りの優しい方 世界一いとおしいあなただから 食べられたって幸せなの 何かが違う こんな筈じゃなかった 確かに腹は減っているけれど ふわふわの毛並み 柔らかそうな肌 食べられたがる餌が居るなんて! 流れ星の願い事など 子ども騙しさ 信じちゃいない けれど目の前のおかしな生き物 星降る夜に落ちてきた 噛みつき咥えて駆けて逃げ出した 一匹狼の誇りも知るものか お前だけは俺が守り通す どうぞいつでも美味しく召し上がれ 数え切れない夜を過ごしたけれど お前/あなたと居れば世界はきらめくよ 嵐の日々も 花を待つ冬でも 二人ならば口遊み歩けるだろう これはちぐはぐな二人の物語