寒い 澄んだ冬の午後に 冷えた石畳の上で息を吐く そらは白く霞んで 世界に蓋をかぶせる わたしの心と同じ その色 わたしがどんなに呪っても 世界は終焉(なく)ならないし 誰も死にはしない わたしはそらを見上げて立ち尽くす この澱んだ世界の底(まんなか)で どうやって生きていけばいいのだろう 寒い 小さな部屋の隅で ひとり浅い睡みから目を覚ます 夜、心は死んで 何故(どうして)息を蘇(かえ)す 幾度でも 幾度でも 幾度でも わたしがどんなに祈っても 悲しみはなくならないし 人は人を傷つける わたしはそらを見上げて立ち尽くす 涙はわたしをひとときなぐさめるだけで 世界を浄い流しはしない こころだけ抱いて死んでいけるなら わたしはどうにここにはいない ひろいしろい とおいそらをみあげて わたしはただ立ち尽くす 伽藍の底に立ち尽くす 伽藍の空に立ち尽くす