叶(かな)わぬ恋の感情(かんじょう)に 振(ふ)り回(まわ)されて 傷(きず)つけ合っても 慈悲(じひ)深(ぶか)き 愛の女神(めがみ)よ 戯(たわむ)れに 恋を、殺(ころ)さないで 偶然(ぐうぜん)響(ひび)いた 幼(おさな)き日の歌声(うたこえ) 遠い想(おも)いびとに、再(ふたた)び巡り会う 見慣(みな)れぬ 面影(おもかげ) 刹那(せつな)に目を奪(うば)われ そっと、踊(おど)る蝶(きみ)に糸(いと)を掛(か)けた 密(ひそ)やかなるうちに 絡(から)む蜘蛛(くも)の糸(いと)のように 無邪気(むじゃき)に飛(と)び舞(ま)う蝶(きみ)の 綺麗な羽(はね)に手を伸(の)ばす 揺(ゆ)らめく恋の糸(いと)の 罠(わな)にかかった蝶(きみ)を捉(つか)まえて 震(ふる)える羽(はね)の鱗粉(りんぷん)に 口づけて そっと絡(から)めとった 「逃(の)がさないよ?」 囚(とら)われた愚(おろ)かな蝶(ちょう)は 逃げ出(だ)せぬまま 罠(わな)に溺(おぼ)れてく 慈悲(じひ)深(ぶか)き 月の女神(めがみ)よ 戯(たわむ)れに 夜を明(あ)かさないで 募(つの)らす想いを 祈(いの)るように囁(ささや)く 初恋の淡(あわ)い夢は 砕(くだ)け散(ち)った 密(ひそ)やかなる うちに ふと佇(たたず)む、花のように 可憐(かれん)に飛び舞(ま)う蝶(きみ)を 見つめることしか、できない 芽生(めば)えた恋の花に ひらり止まった 蝶(きみ)に囚(とら)われて 奪(うば)われた蜜(みつ)の香(かお)りに 酔(よ)わされて そっと、想い焦(こ)がす 「愛してる」 欲(よく)深(ぶか)き愚(おろ)かな蝶(ちょう)は 気高(けだか)き花の 毒に侵(おか)されて 麗(うるわ)しき 愛の女神よ 戯(たわむ)れに 恋を、殺さないで 叶わぬ恋の感情に 振り回(まわ)されて そのたび、絆(ほだ)され 羽(は)ばたきに疲れた羽(はね)の 休(やす)め方(かた)さえ 分からないの 「助けて」 許されぬ恋の花は 実(みの)らぬうちに 枯(か)らしてしまおう 噎(む)せ返る 残(のこ)り香(が)だけを この胸の奥(おく)に閉じ込めて 解(と)けない恋の糸(いと)に 絡(から)まったまま もがき続(つづ)けても 慈悲(じひ)深(ぶか)き 愛の女神よ 戯(たわむ)れに 恋を、殺(ころ)さないで