なんで君は泣いてるの さっきまで怒っていたのにさ 思いつく限りの罵声と お馴染みの常套句を浴びせたじゃない 遡(さかのぼ)るコト9時間前 僕と君は大喧嘩をした 互い 譲らない 意地を維持したまま 平行線を辿り そして 時は 早送りされ メロドラマは 終わる 「頑張りました サイゴのサイゴまで 持てる限りの力 振り絞り」 それなのに どうして僕はまだ ここに居るんだろう あんなに動けてたのに なんか急に態度が軟化 周りも急に優しくなった やたら たくさん人が来てくれたり 昔の話をしてくれたり 少し記憶が戻ってきた 僕は病院のベッドの上 あの日お店を出た後に 強い衝撃が体を走り そして 時が スローモーション 赤い車輪が見えた 「よく出来ました 最初の最初から 全ての愛と心 詰め込んで」 それなのに どうして僕はまだ 喋れないんだろう 言葉溢れてくるのに ここで少し時を戻し 隠れてる所を見てみよう 遡(さかのぼ)るコト8時間5分前に 緊急オペが始まった 機械じかけの神様の お陰で大団円を迎え るようなコトはなくて 心電図は平行線を辿った そして 時は今 立ち止まる 僕の歩みと 共に 「頑張りました 最期の最期まで 持てる限りの力 振り絞り」 そんなコト 心から言えるの? 「後悔なんてない」と 言えますか? 突然終わる 命 気付かずに 現在形は変わる 過去分詞に それまでは せめて伝えてよ ベタでもいいから ベターなその声を ベッドで眠る僕を 見つめる君 それを上から 眺めてるのは僕 わだかまり 涙で流したら 口づけしましょう いつもの仲直り さあ この物語はフィクションですが ノンフィクションになる可能性があります 実在の人達とは後悔少なめの毎日をね