季節を逸れ一人 彷徨ふ雨に くるり風は 無慈悲に刻を止めて あの空の高さ その遠き意味を 教へるかのやうに 無様に揺れる水面、馴染まぬ影を 消し去って また陽は正しく昇る 今過去を 傷を 幾重織り重ね 明日 夢見て 舞ふ 土塊に塗れ 綻びた腕を ただ もう一度 ただ 無理矢理に 繋いで あなたの横顔に 綺麗な花は 手向けられなくとも 朽ち逝く その時に 何処までも 深く 赤く染められた あなたを想ふたび こころ 満たされて咲く 暗闇に消えた二人 すれ違ったまま 傘を差し 目を伏せて 出会はなければ その過去を 傷を 翼に変へて 飛ぶことも出来た こんなに あなたは 僕と違ふから それを希望と それを光と 呼べたら 傷ついた両手で 無数に散った 花は、掬えなゐよ 刺だらけの絆 握り返して 痛がって笑った あなたに触れるたび こころ 摘み取られてく 涙枯れ果てて 綻びた声で それでも 前に それでも 生きて 行かなきゃ あなたの横顔に 綺麗な花は 手向けられなくとも 世界に一輪とと おんなじ花は 二度と咲かなくとも あなたが居た場所に ひかり 強く芽吹いた 散り逝く時にこそ 乱れ咲け 一輪花