[00:00.00] [01:03.45]――神は我等とともに。 [01:44.66]あの音が聴こえるか [01:46.60]心地良い 赤い せせらぎの音だ―― [01:51.15]その名を聞いたことがあるだろう [01:53.97]古の印を与えられ 強固たる理念に付き随い [02:00.38]唯一つの頂に靡き 統率された凶猛の衆 [02:06.65]響き渡る跫音 に 皆 恐れ慄き跪く [02:17.60]息を殺し 唯 狂飆が去るのを待つ [02:19.54]眼を閉じても 脳裏にこびり付いて離れない [02:22.68]意識を擦り潰す 霹靂の如き 閃光の中 [02:24.09]焼け爛れた影供が揺れている [02:26.01]影は刻々と迫り やがて私を飲み込むだろう [02:29.52]紅蓮に染まる 水面に揺れてる [02:32.59]孤独に もがき続けて 嗚呼 届かぬ 名も無き歌に溺れていく [02:42.80]雪のように 舞い散る 光に 囚われ [02:53.01]歪んだ 鏡のなかで [02:56.11]「強烈な臭気に誘われて 真っ黒な人達が集まってくる [03:00.21]彼等は赤い川へと入っていき 唇と尖らせて ずるずると啜っている [03:03.68]それは霊的で根源的な行為であり 神秘的であったが [03:07.98]おぞましくもあり 何か とてつもなく背徳的なものに見えた」 [03:09.23]その名を知らぬものはいない [03:10.49]新たな時代の礎 数多の死の上に築きあげ [03:15.31]唯一つの地に集い 世界を二分する混沌の中 [03:18.23]第三の光を求めその力を行使する [03:22.20]群れ集う蠁子の嘆きは [03:24.70]やがて 仇となり 渦巻き 深く蝕んでいく 穢れの中で [03:30.91]打ち鳴らす 閉眼の音を [03:34.51]踏み躙る手と 障礙の二葉を 燃え落ちていく 夜陰に隠し [03:47.82]渦巻き声と 非嘆に毒され [03:51.46]私を蝕んでいく 嗚呼 聴こえる 鳴り止まぬ 閉眼の調べ [03:59.33]白き手と 障礙の二葉は 濁り 燃えゆく 宵闇に隠して [04:15.34]どこからともなく聴こえて来る 黒い音 [04:19.22]畏怖か 陶酔か 皆 その音に聴き入っているようだ [04:25.99]燃え滓は 仇となり 燻り続ける [04:28.83]人々は口を噤み その様子を眺めていた [04:31.60]無数の羽音は重なり合い 次第に大きくなっていく [04:35.72]改革された意識の下に新生するものへの祝福だ [04:39.64]それは感情を侵し 意識を蝕み やがて深淵へと至るだろう [04:46.47]腐敗した林檎のようにどろどろに溶けて [04:49.90]全ては沸々とした黒い川へと帰り行く [04:54.57]それは魂の拠り所であり 揺り籠であり 墓である [04:59.51]色無きものは 連なり 擦れ合いながら 嗚咽し 涙を流す [05:06.61]「彼等には翅がある その耳障りな音色は大層不輸悦だ [05:11.78]汚れの中で蠢き 喚き散らしている [05:14.35]やがて翅を焼かれ螺旋を描き墜ちていく [05:17.36]彼等の見ているものは全てはまやかしだったのだ [05:20.58]しかし孤独な王は 孤独故に気づくことはない」 [05:27.37]「それは巨大な精神の巣であり [05:29.26]体系化した力によって統率されている [05:31.19]だが、 肥大した精神は形骸化し [05:32.03]やがてその意味を失くすだろう」 [05:35.74]千切れた虫のように もがきながら [05:37.50]這いずり回り 転げ落ちる [05:42.41]痛みも 苦しみもない [05:48.91]唯 彼等は幻影の中で踊っているに過ぎないのだ [05:52.15]荒れ狂う糸をより その眼を縫い合わせ [05:56.34]潰れた抜殻を塗り固めて形成した足場を踏み鳴らす [06:04.35]埋め尽くす 空音と 掠れた日々の中で [06:12.85]錆びた 火輪に 揺蕩 う [06:16.97]戸惑い忘れた 過ぎ去る明日の声は [06:25.31]灰色の 風に攫われ [06:32.19]【黒いの広場】 [07:00.55]人は元来 森羅万象に隷属するものであり [07:05.51]恒久 たる幸福を享受すべく 邁進せねばならない [07:08.53]然るに 愚劣な害虫は 驕り高ぶり [07:11.90]腐った脳髄から欺瞞に満ちた平等を乗れ流している [07:15.90]とうにその本質は失われ [07:17.71]虚偽の上に築かれた破壊は [07:19.80]もはや脅威となりつつある [07:21.26]その極めて物質的な感覚は [07:24.18]迷える精神を侵し [07:25.64]やがて絶望のなかで色を失っていくだろう [07:28.70]我々こそは秩序であり [07:30.58]選ばれし血の正統たる後継者である [07:33.51]大宇宙の真理を理解し得る [07:35.53]唯一の存在であり [07:37.17]至高の意志の体現者である [07:40.12]地上に蔓延る虚偽を廃絶した暁に [07:41.76]暗黒の時代は終わりを告げ [07:43.92]光溢れる時代へと入るだろう [07:46.31]そのとき我々は [07:47.76]天から与えられた [07:48.83]真の自由を手にすることができるのだ [07:51.09]今 この瞬間にも [07:52.57]同胞は傷つき 血を流し 苦痛に耐え忍んでいる [07:55.56]理想の実現を希求し 来る安寧の日の為に [07:58.74]その身を焦がし続けている [08:00.14]それら高潔たる忠誠は [08:01.25]讃え 喝采すべきである [08:03.67]我々を栄光へ導く最も神に近い存在なのだ―― [08:23.21]「忠誠を名誉とし [08:23.94]命の尽きる瞬間まで従属する [08:25.29]黒い幻想の輩である [08:26.29]それらは魂により繋がれ [08:27.48]時間の波を超越し [08:28.56]再会すると妄信 している」 [08:36.61]燃えている人――人――、 人――。 [08:58.03]太陽が沈むとき 古きものは信仰とともに消え失せる [09:03.41]虫が脱皮するように 回帰のなかで 段階的に見られる現象だ [09:08.45]やがて硬化した世界の殻を破り 炎が這い出してくる [09:14.24]彼等は飛翔し 螺旋を描きながら どこまでも 永遠に―― [09:17.73]「昇っていくだろう」 [09:19.21]嗚呼 高く 棚引く 旗の下で [09:22.54]貪る 理想の華を [09:28.83]歪な 子守唄を 聴きながら [09:36.02]胎児は 真紅の 夢を見る [09:40.58]運命と 来る 憩いに揺らいで 終わりのときを待つ [09:50.66]嗚呼 黒い光が流れていく 滅びの先で眠るのだろう [10:03.92]万歳! 万歳! 万歳! [10:23.41]あの音が聴こえるか [10:25.90]気味の悪い 黒い 飛翔の音だ――