[00:34.88]木造アパートの一階で
[00:37.08]彼は夢中で絵を描いていた
[00:39.71]描きたかったのは自分の事
[00:42.89]自分を取り巻く世界のこと
[00:45.59]小さな頃から絵が好きだった
[00:48.16]理由は皆が褒めてくれるから
[00:51.50]でも今じゃ褒めてくれるのは
[00:54.45]一緒に暮らしている彼女だけ
[00:57.89]でも彼はそれで幸せだった
[00:59.98]すれ違いの毎日だけど
[01:03.04]彼女はいつもの置手紙
[01:06.01]桜模様の便箋が愛しい
[01:08.79]気づいたら夜が明けていた
[01:11.55]気づいたら日が暮れていた
[01:14.64]気づいたら冬が終わってた
[01:17.46]その日初めて絵が売れた
[01:23.51]状況はすでに変わり始めてた
[01:28.76]次の月には彼の絵は
[01:33.43]全て売れた
[01:36.42]変わってくのは いつも風景
[01:46.60]誰もが彼の絵を称えてくれた
[01:52.04]彼女は嬉しそうに
[01:55.76]彼にこう言った
[01:59.57]「信じてた事 正しかった」
[02:05.40]正しかった
[02:21.42]絵を買ってくれた人達から
[02:23.77]時々感謝の手紙を貰った
[02:26.89]感謝される覚えもないが
[02:29.88]嫌な気がするわけもない
[02:32.41]小さな部屋に少しずつ増える
[02:35.15]宝物が彼は嬉しかった
[02:38.38]いつまでもこんな状況が
[02:40.85]続いてくれたらいいと思った
[02:44.03]彼はますます絵が
[02:46.24]好きになった
[02:47.17]もっと素晴らしい
[02:48.72]絵を描きたい
[02:50.07]描きたいのは自分の事
[02:52.51]もっと深い本当の事
[02:55.93]最高傑作が出来た
[02:58.32]彼女も素敵ねと笑った
[03:01.22]誰もが目をそむける様な
[03:04.38]人のあさましい本性の絵
[03:12.86]誰もが彼の絵に眉をひそめた
[03:18.27]まるで潮が引くように
[03:22.60]人々は去った
[03:24.81]変わってくのは いつも風景
[03:36.08]人々は彼を無能だと嘲る
[03:41.33]喧嘩が増えた
[03:44.38]二人もやがて別れた
[03:48.77]信じてた事 間違ってたかな
[03:57.70]間違ってたかな
[04:10.89]木造アパートの一階で
[04:13.32]彼は今でも絵を描いている
[04:16.14]描きたかったのは自分の事
[04:18.77]結局空っぽな僕の事
[04:21.99]小さな頃から絵が好きだった
[04:24.58]理由は今じゃもう分からないよ
[04:27.67]褒めてくれる人はもう居ない
[04:30.59]増える絵にもう名前などない
[04:36.67]気付けばどれくらい
[04:39.56]月日が過ぎたろう
[04:42.09]その日久々に
[04:45.14]一枚の絵が売れた
[04:49.61]変わってくのは いつも風景
[04:59.66]その買主から手紙が届いた
[05:05.08]桜模様の便箋にただ一言
[05:12.53]「信じてた事 正しかった」
[05:21.29]正しかった
[05:24.17]「信じてた事 正しかった」
[05:32.96]正しかった
[05:35.36]「信じてた事 正しかった」
[05:43.18]正しかった