[00:39.08]思えば遠く来たもんだ [00:46.83]十二の冬の あの夕べ [00:56.57]港の空に鳴り響いた [01:08.56]汽笛の湯気は 今いずこ [01:25.23]雲の間に 月はいて [01:32.09]それな汽笛を耳にすると [01:38.04]竦然として 身をすくめ [01:44.99]月はその時 空にいた [01:54.93]それから 何年経ったことか [02:03.15]汽笛の湯気を 茫然と [02:09.58]眼で追いかなしくなっていた [02:16.00]あの頃の俺は いまいずこ [02:26.46]今では 女房 子供持ち [02:43.53]思えば遠く来たもんだ [02:50.00]此の先 まだまだ何時までか [02:56.00]生きてゆくのであろうけど [03:01.39]生きてゆくのであろうけど [03:31.42]遠く経て来た日や夜の [03:35.93]あんまりこんなにこいしゅうては [03:45.63]なんだか 自信が持てないよ [03:55.43]さりとて生きてゆく限り [04:00.41]結局我(が)ン張(ば)る僕の性質(さが) [04:10.93]と 思えばなんだか 我ながら [04:16.17]いたわしいよなものですよ [04:25.99]考えてみればそれはまあ [04:31.11]結局我ン張るのだとして [04:35.86]昔恋しい時もあり そして [04:42.24]どうにかやってはゆくのでしょう [04:53.33]考えてみれば簡単だ [04:59.44]畢竟意志の問題だ [05:11.59]なんとかやるより仕方もない [05:16.38]やりさえすればよいのだと [05:23.44]思うけれども それもそれ [05:52.36]十二の冬のあの夕べ [06:01.07]港の空に鳴り響いた [06:10.23]汽笛の湯気や 今いずこ