[00:00.82]隠れんぼする者、この指止まれ」 [00:18.12]粘稠 柘榴 赫月 二十二週目の悪阻の晩に [00:25.16]踏段軋る襖の向こう 肉の嗚咽を掻き毟る [00:32.67]「もういいかい?」「まだだよ」 [00:43.06]「もういいよ」捻れ捩れ廻る腫瘍 [00:48.06]肉壁を抉り刺し掻爬き剥がす様に [00:51.33]何度も何度も逆手に遡上 [00:54.82]赤黒く下垂した双頭の胎児 [00:58.32]声なき細い裂手が掴んだ [01:13.79]浴槽 汚穢 五月雨 這い寄る蛆は初潮の晩に [01:20.71]蹂躙の痣 六畳の染み 後ろの正面 螺子の蟲 [01:28.36]「もういいかい?」「まだだよ」 [01:38.61]「もういいよ」嬲り舐り啜る絲引き [01:43.69]剥き出した粘膜を貪る破瓜は [01:46.88]滴る鮮紅に裂けた柔襞 [01:50.46]組み敷いた実父の悪臭に爛れて [01:53.71]五月蠅の埋め尽くす思春期 [02:12.43]朦朧と錯落の回環に揺曳し狂悖する溷濁は 剥離 故に 増殖 [02:19.35]朦朧と錯落の回環に揺曳し狂悖する溷濁は 輪廻する十三夜 [02:26.47]「もういいかい?」「まだだよ」 [02:31.00]右左の間に滑り堕ち垣間見える様に [02:34.69]何度も何度も掻爬き剥がす手が… [02:38.18]玩弄の籠の聲 いついつ出やる [02:41.56]歪に歪む糜爛の百合 [02:44.81]組み敷いた舌を噛み千切り吊して [02:48.35]ならんだ ならんだ あか しろ きいろ [02:51.82]赫黒い肉塊は押入れの奥 [02:55.26]臍帯で括り戸を閉めた。 [02:58.75]夜明けの晩に咲いた