秒針はふざけて立(た)ち止(ど)まって 意味(いみ)と夢(ゆめ)と命を集めて 作られてしまった身体(からだ)は 終(お)わった命を蒸(む)し返す機械らしい 【これは彼の昔のお話】 人(ひと)一人(ひとり)は涙を流(なが)して また会(あ)いたいと呟いた ハリボテの街の 終末実験は 昨日時点で予想通り グダグダ過(す)ぎて その時点でもう諦(あきら)めた方(ほう)が良(い)いでしょう? 次の二人は 街の隙間で そんな水色の 夢見てた 期待ハズレの車線の先(さき)で 小(ちい)さな身体(からだ)はまた飛(と)び散(ち)った 泣(な)き叫ぶ少女を 目醒めない僕は見ていた 秒針は進(すす)みだすのを止(や)めて 世界もろとも眩みだそうとする この夢は終わらない 意味(いみ)と夢と事態を合(あ)わせて ただただ考えてく頭(あたま) 「この世界(せかい)はどうやら少しヤバイらしい」 【これは彼(かれ)と彼女のお話】 作(つく)られてしまった心(こころ)では もう言葉(ことば)も届(とど)かない 枯(か)れる太陽の音 蒸せる炎天下の目 夏(なつ)バテした世間に はじき出された様な 蝉(せみ)の声がもう鳴(な)り響(ひび)き始めても ユラユラ揺(ゆ)れる 透(す)ける身体じゃ 伸(の)ばした手(て)も届(とど)かなくて 期待ハズレの視界の先(さき)で 踏み潰される未来を 反対車線で見ていた 機械(きかい)仕掛(じか)けの世界を抜けて 木(こ)の葉(は)の落(お)ちる未来の風景へと 君(きみ)の目(め)で 嗤(わら)う日差(ひざ)しはどこかに消(き)えて 8月は何度(なんど)でも過(す)ぎ去って 「また来年だね」と笑いあう そんな未来なら? 期待(きたい)ハズレの世界の隙間 予報外れの雨が降ってきた その時(とき)に その時に 例え未来が書き換わっていても あの目は