[00:00.69]夏風がノックする窓を開けてみると [00:06.33]何処からか迷い込んだ鳥の声 [00:12.01]読みかけの本を置き [00:14.62]「何処から来たんだい」と笑う [00:17.43]目隠ししたままの午後三時です。 [00:23.37]世界は案外シンプルで [00:25.91]複雑に怪奇した私なんて [00:29.90]誰に理解もされないまま [00:34.74]街外れ、森の中、人目につかないこの家を [00:40.02]訪れる人などいない訳で。 [00:44.04]目を合わせないで! [00:46.67]固まった心、一人ぼっちで諦めて [00:51.53]目に映った 無機物(もの)に安堵する日々は [00:56.81]物語の中でしか知らない世界に少し憧れる [01:02.51]ことくらい許してくれますか? [01:08.73]淡々と流れ出した [01:11.15]生まれてしまった理不尽でも [01:14.50]案外人生なんで。私の中じゃ。 [01:20.13]ねぇねぇ、突飛な未来を想像して [01:24.04]膨らむ世界は今日か明日でも [01:28.64]ノックしてくれないですか? [01:32.85]なんて妄想なんかして [01:35.15]外を眺めていると [01:38.08]突然に聴こえてきたのは喋り声 [01:43.73]飲みかけのハーブティーを [01:46.53]机中に撒き散らし [01:48.99]「どうしよう???」と [01:50.15]ドアの向こうを見つめました。 [01:53.45]「目を合わせると石になってしまう」 [01:57.77]それは両親に聞いたこと [02:00.47]私の目もそうなっている様で [02:05.95]物語の中なんかじゃいつも [02:08.93]怖がられる役ばかりで。 [02:11.78]そんなこと知っている訳で。 [02:17.81]トントン、と響きだした [02:20.21]ノックの音は初めてで [02:23.49]緊張なんてものじゃ足りないくらいで。 [02:29.33]ねぇねぇ、突飛な世界は想像しているよりも [02:34.40]実に簡単にドアを開けてしまうものでした。 [03:03.26]目を塞ぎうずくまる姿にその人は驚いて [03:08.84]「目を見ると石になってしまう」と言うと [03:13.03]ただ笑った。 [03:14.43]「僕だって石になってしまうと、 [03:17.42]怯えて暮らしてた [03:19.85]でも世界はさ、 [03:21.20]案外怯えなくて良いんだよ?」 [03:26.83]タンタン、と鳴り響いた [03:29.51]心の奥に溢れてた [03:32.71]想像は世界に少し鳴り出して [03:38.47]ねぇねぇ、突飛な未来を教えてくれた [03:42.70]あなたがまた迷ったときは [03:47.41]ここで待っているから。 [04:12.32]夏風が今日もまた [04:14.51]あなたがくれた服の [04:17.45]フードを少しだけ揺らしてみせた。