[00:02.74]病弱な身体 子供の頃から生死をさまよっては [00:08.91]家に伝わる秘薬を饮み続けてた日常 [00:14.49]必要な事もろくに出来ない ただの役立たずだと [00:20.04]家族に疎まれ次第に歪んでた心 [00:24.99] [00:25.81]希望なんてどこにもなかった [00:31.44]ただ生き続けるだけの日々 [00:36.46] [00:37.28]15歳の時 唐突に組まれた縁談の話 [00:42.67]相手は他国の落ちぶれた貴族の娘 [00:48.32]お互いの意思などまるで無視の ただ家柄のために [00:54.05]自分が道具だと改めて理解をした [00:58.93] [00:59.71]豚のように太った少女 [01:05.16]それが彼女との出会いだった [01:10.32] [01:11.56]彼女もやはり一人ぼっちで少女時代を過ごしたそうだ [01:16.60]母は亡くなり父は心を病んで家は没落した [01:22.25]“いつか世界中を旅したい [01:25.39]それが彼女の夢だという [01:27.85]二人で行くのも悪くないなと思った [01:32.57] [01:33.69]客人を招いて開かれた婚約の為のパーティ [01:39.18]そこで彼女の心の闇を知ることになった [01:44.79]出された料理を乞食のように貪り喰らう彼女 [01:50.51]“残したら怒られる”呟いた [01:55.13] [01:56.11]亡き母から受けてた虐待 [02:01.68]婚約は破談になった [02:06.83] [02:13.15]時が経った時耳に届いた彼女に関する噂 [02:18.69]“ゲテモノを喰らう悪食娘になった”と [02:23.75] [02:24.45] [02:24.73]顔を変えてコックを装い 彼女に雇われた [02:29.94]そこにいたのは見違えるほど美しくなった女 [02:35.41] [02:35.73]禁じられた悪魔との契約 [02:41.29]彼女はもう人でなくなっていた [02:46.21] [02:47.05]異常な料理作り続ける日々 思わず口をついて出た言葉 [02:52.51]“そろそろお暇をもらえませんか?”失望する彼女 [02:58.34]わかっている自分はいつだって逃げてばかりの負け犬だと [03:03.84]またこうして彼女から逃げようとしてる [03:08.63] [03:09.80]あのパーティの日に君を受け入れることができたら [03:15.02]君を救う事も出来たかもしれない [03:20.89]未だに手放せぬ薬 金の粉末入りの小瓶 [03:26.33]決意と共に握り締めた [03:31.34] [03:32.36]子供の頃から飲み続けてきた秘伝の薬 [03:37.71]扱いを間違えば毒にもなる薬 [03:43.35]“たまには共に食事をしましょう”そう彼女を誘い [03:49.03]二人分のスープ どちらにも毒を入れた [03:54.02] [03:54.66]二人で逝くのも悪くないだろ [04:00.39]さあ これが僕らの最後の晩餐だ [04:08.39] [04:28.83]――そして今の僕は 食卓に並べられた料理の一つ [04:34.55]彼女に毒は効かなかった [04:37.20]死んだのは僕だけ [04:40.13]意識を失う直前 彼女はポツリとこう言ったんだ [04:45.52]“あなたはまた逃げたのよ 私を置いて [04:50.51] [04:51.53]君のための料理になって僕は君の胃の中へと [04:56.71]そして僕は君の血となり肉となる [05:02.60]もう僕が君から逃げることはないだろう [05:08.01] [05:08.34]永遠に君と共に [05:13.53]undefined