只 立ち尽くす 丈(だけ) 彼(か)は 産土(うぶすな)を 恤(めぐ)む人 禍(まが) 遥か 遠く 連れ立(だ)ちたい 春の場(にわ) 謀(はかり)を 捨てて 欺罔(きぼう)も 失せて 溢(あふ)るる 泪(なみだ)さえ 消えぬ儘(まま) 貴方が 択(えら)みし 所為(そい)の轍(わだち) 私怨(しえん)を 忘れ 故(ゆえ)に ●(もが)いて 訪(おとず)れし 末路(まつろ)を 容れぬ儘(まま) 私(わたし)に 残りし 移郷(いごう)よ 此(こ)の瞬間(とき)を 挿頭(かざ)す 未だ 忍び泣く 丈(だけ) 川 浮津(うきつ)など 要らぬ人 更 揺(たゆた) 揺(あゆ)き 泳ぎて 連らなりたい 果(は)つる迄 鑑(かがみ)を捨てて 非望(ひぼう)も 伏せて 爛(ただ)るる 疵痕(きずあと)も 癒(い)えぬ儘(まま) 貴方が 殺(あや)めし 族(ぞう)の轍(わだち) 私怨(しえん)を 忘れ 故(ゆえ)に ●(もが)いて 訪れし 末路(まつろ)を 容れぬ儘(まま) 私に 残りし 移郷(いごう)よ 其の瞬間(とき)を 別(わか)つ 禍(まが) 遥か 遠く 連れ立ちたい 闇の奥 明かりを 棄てて 冀望(きぼう)も 失せて 群がる 闇の前(さき) 消えぬ儘(まま) 貴方が 描いた 愛のの轍(わだち) 私怨(しえん)を 忘れ 故に ●(もが)いて 訪(おとず)れし 末路(まつろ)を 容れぬ儘(まま) 私(わたし)が 望みし 帰郷(ききょう)よ 此の瞬間(とき)の 中に 【 おわり 】