闇夜の月 暗い森に 散りばめられた 星をたどり 扉の向こうで微笑する 「お上がりなさい ようこそ我が館へ」 ランプの燈 揺れる光 出迎えた猫 右足無し 蠢く気配はとめどなく 少年の帰路 遠ざけた 白馬の王子様 さあ 私の手を 取って 指に 誓いのキスをして 焦げ付いた魂は 病的に狂わしく 何度でもあなたを求める 紅茶に混ぜた媚薬から 分岐する運命の 選択肢は渡さないわ もしあなた 逃げるなら 分かるでしょ? あの猫 可愛そう 迷路に迷い込んで 引き千切られた 華のように 美しく孤独に ひらり 舞い我の下へ 間違い探しはもう したくない あなたでもう 何人目? 幻の生身の人間 老いない身体に とり憑いた 螺旋状の幻想に 幾度となく騙された 触れられない 不老の実態 触れられない 不死の実態 侵すこと 許されぬ事実 受け継いできた 呪いの種 気付かずに 華咲かせた 罪と罰は自らに 終わらない 呪いの展開 地縛する 主の喝采 暗黒なイデア劇場 主役の席を改めよう お前はそう、猫になれ 右手はいただこう 人里に降り立った 新たなる 言い伝え 「森の奥、そこには妖精が」 冒険心をかきたて 騙し討つオーディションが 今まさに始まろうとする