世界の音が一瞬消えさった静かな夜に、 まだ年端もない頃の僕が虹色のパレットを 持って飛び出した。 昨日の海岸の大雨を涙の色にしたは 飛行機雲だっただろうか。 そこに辿り着いた時、ローズマリーが 大切な嘘をついた。 どうやら僕はこの瞬間においてそのパレットで 新しい世界を描けるらしい。 でたらめにしか聞こえないと つぶやきながら一人空を見ていた。 でもそれが聞こえたのは確かであって僕は それを信じたいと強く願った。 そのまま一人空を見ていた。 ただ一人空を見ていた。