届く筈もない、遥かな この手の、その先に 見捨てた筈の、故郷の幻影 見上げながら、囚われる 想いを振り切る そんな勇気も持ち合わせずに… 呻いて 独り、夜を反芻する 汗ばむ 脳裏を掻き乱す脅迫幻覚(あせそら?) そして/ 見た悪夢の残滓から 一心不乱に目を逸らす 波長は語りかける、容赦なく 私は 耳を強く塞いだままで 遥かな 届かぬ場所の幻影を 噛み潰そうと悶え、足掻く 見つめて来るのだ 懐かしい仲間の影が 顔のない皆は口を揃えて… 怨嗟の声を叩き付ける "裏切り者が!"と叫び立てる 見捨てた 愚かな この身を 呪えど 何も変えることは出来ない 自己が自己を責め立てる様は 苦渋のアンビバレント 届かない 手の先に もどかしくも安堵する 顔向けなど到底出来はせず いっそ自分こそを何よりも、 狂わせられればいい 何も出来はしない、 私を罵る 月が煌々と 上辺は 穏やかなこの暮らし 懶惰(laziness) つまりはいわゆり生神停止(my stop?) そして/ 言葉に出来ぬ想いを 抱く先から、追い立てられる 逃避の果てに 目指す夢の中。 そこさえも/ 昔の記憶に侵された ああ、何をなすべきなのかさえも わからないまま惑い、苦しむ。 見つめて来るのだ 痛ましい自分の影が。 眼窩に暗い炎(ひかり)を灯して… 怒りの声を解き放つ "臆病者が!"喚き散らす 穢れた 憐れな この身を 嘆けど 何も変えることは出来ない 幾度も倫理と抗い それでも赦されないまま 何処までも 何時までも この場所で膝を抱え 今が現実と言い聞かせつつ そうして全てを誤魔化して 生きてゆくしかない… 何も忘れられぬ、 私を蔑む 月が爛々と 曰く "許しが欲しいのか?"/ 曰く "救いが欲しいのか?"/ 曰く "よくも、貴様など…" "そのまま罪の意識に苛まれ続けるがいい!"/ 呪えど 嘆けど 怨めど 憎めど 変わらぬ身がただ疎ましく 狂いたいと願いさえすれど 自分だけは狂わせられぬ 昂れど 憂えど 荒ぶれど 嘲えど 結局辿りつく袋小路 耳以上に歪んだ心が 瞳より紅く涙する "私は狂えるのか?" そんな "残酷な運命(Cruel Fate)"- これが定めだ、と 受けいれたつもりで、 終りなき問いが、 心、掻き乱す。/ undefined