[00:30.14]我は α(アルファ) そして Ω(オメガ) [00:33.31]我は 一 そして 全 [00:36.51]我は 不定 そして 無限 [00:39.67]我は 混迷 そして 恐怖 [00:43.04] [00:45.78]—すなわち、不可説不可説転。 [00:52.14]—しかるに、われはわれである。 [00:55.38] [00:55.58]人ならぬ声に心せよ。 [00:58.74]闇の淵には心せよ。 [01:01.96]敵を呪わば心せよ。 [01:05.06]歪む有象無象(すべて)に心せよ。 [01:08.46] [01:08.66]“嘘(ちいさなうそ)”が“偽(おおきないつわり)”を作り出してゆく。 [01:19.78]そうして、かくも恐ろしき [01:22.53]有為転変の果てに、 [01:27.51] [01:30.75]更なる、歪な“バケモノ”が、生まれゆく。 [01:36.61] [01:36.81]その叫び声が齎す [01:41.06]人からまた人へと連鎖していく [01:45.83]この感情こそが我が命 [01:49.46] [01:49.66]及びもつかぬものを、 [01:52.81]「虚」をその「口」でなぞるがいい。 [01:55.72] [01:55.93]その意思のままに、 [01:57.79]認識(りかい)のままに、 [01:59.38] [01:59.58]人よ、 [02:00.11]嘘を、 [02:00.92]嘘をつけ。 [02:02.23] [02:02.43]さぁ、更なる嘘を! [02:07.10]「真実の姿(わたし)」から [02:08.58] [02:08.78]遠ざかれ。 [02:13.63] [02:14.63]頭は猿 [02:16.30]躯は狸 [02:17.86]尾は蛇 [02:19.47]手足は虎の如くにて [02:23.77] [02:24.27]鳴く声は鵺にぞ似たりける。 [02:27.25] [02:27.44]頭は虎 [02:29.02]躯は猿 [02:30.61]尾は狸 [02:31.81]手足は蛇の如くにて [02:36.44] [02:36.94]喚く声は鵺にぞ似たりける。 [02:39.91] [02:40.11]頭は人 [02:41.72]躯は人 [02:43.32]尾は定かならずも [02:45.24]羽は青赤取り取りに [02:49.22] [02:49.72]哭く声は鵺にぞ似たりける。 [02:53.56] [02:57.67]幻想は我が 糧なりて、 [03:00.76]幻想は我が 鎧なり。 [03:04.06]幻想は我が 朋なりて、 [03:07.14]幻想は我が 鏡なり。 [03:10.53] [03:13.32]—すなわち、不可逆不可侵性。 [03:19.72]—しかるに、われはわれである。 [03:22.93] [03:23.13]「恐ろしきはその姿」 [03:26.27]「悍ましきはその姿」 [03:29.39]「忌わしきはその姿」 [03:32.58]「汚わしきはその姿」 [03:35.86] [03:36.06]その僅かな間隙に這いよっては [03:42.68]その数を増していく。 [03:48.51]寄る辺のない、 [03:49.65]不安定な心にこそ、 [03:55.09] [03:58.24]更なる、歪な“バケモノ”が、潜むのだ。 [04:04.19] [04:04.39]果てなく続く探究心。 [04:08.51]人からまた人へと相伝していく [04:13.25]その意思(かんじょう)こそが我が敵 [04:16.93] [04:17.13]“不明(わからず)”の聖域を [04:20.29]有らぬ思索で穢さぬよう [04:23.26] [04:23.45]その意思のままに、 [04:25.27]認識(りかい)のままに、 [04:26.80] [04:27.00]人よ、 [04:27.63]沈め、 [04:28.43]沈みゆけ。 [04:29.80] [04:30.00]さぁ、沈んでしまえ! [04:34.77]「真実の姿(わたし)」を [04:36.14] [04:36.35]見失え。 [04:40.81] [04:41.01]わが身は [04:42.70]われであって、 [04:44.12]わが姿は [04:45.70]われにあらず。 [04:47.07] [04:47.27]呼ぶ名さえも判らずに、 [04:50.51]行き果てたその遥かに、 [04:53.64] [04:53.84]この身を神と見紛わん。 [05:03.39] [05:05.36]それは神の名を [05:09.75]冠した幻想 [05:14.00] [05:14.20]—しかるに、われはわれである。 [05:17.66] [05:19.05]神をも越えたその次に、 [05:22.24]わたしがとる姿は何か。 [05:25.27] [05:25.47]それはきっと おそろしいのだ。 [05:28.61]それはきっと 不可解なのだ。 [05:31.80] [05:32.00]このわたしさえ「恐れさせて(おびやかして)」しまうほど。 [05:37.98] [05:38.18]その叫び声を生み出す [05:42.29]人からまた人へと伝染していく [05:47.07]この恐怖(かんじょう)こそが我が本質(いのち) [05:50.68] [05:50.88]及びもつかぬものへ今も尚、 [05:55.01]姿を変貌(か)えていく [05:57.05] [05:57.25]その意思のままに、 [05:59.03]認識(りかい)のままに、 [06:00.61] [06:00.81]人の嘘は果てしなく [06:03.02] [06:03.22]…そして [06:03.51] [06:03.71]叫び声が、終には、 [06:07.71]他ならぬこの身から。 [06:10.16]わたしの思いもよらぬ [06:14.04]影像(かげ)を纏いながら… [06:16.14] [06:16.34]畏れてしまうならば、 [06:19.52]この力の拠り所さえ、 [06:22.74]喪うのかと、思い至ることさえ、 [06:26.80]既に恐ろしい。 [06:28.70] [06:29.20]ああ、おそろしいのは… [06:34.01] [06:35.58]人の心なのだ。 [06:41.73]