作曲 : 白黒キネマ 作词 : 白黒キネマ 愛されていました。こんなに深く。 僕はそれに気付かずに生き続けた 眠りに付いた母の姿を見つめ 柔らかくて綺麗だった手を握った カバンを背負(せお)う僕の 手をひく優しい手 夕暮(ゆうぐ)れのこの場所で 母(はは)はよく泣いていた 月日が過ぎた頃 大人になった僕は 優しさを忘れ自分さえも 失(うしな)い欲(よく)に溺(おぼ)れ 愛されていました。こんなに深く。 僕はそれに気付かずに生き続けた 眠りに付いた母の姿を見つめ 柔らかくて綺麗だった手を握った 憧れたこの都会(とかい)に打ちのめされた 「待ってる。」と 受話器(じゅわき)の向こう母の声に 何も言えず嘘をついた 故郷(ふるさと)に吹く風 眩(まぶ)しい春の息吹(いぶき) 変わり果てていた 胸を焦がし突(つ)き動かしていった 叶わぬ道を行く僕の背中は 見果てぬ明日に魅(み)せられていった 都会の雑踏(ざっとう)に飲み込まれてく 母の泣く姿さえも 目を背(そむ)けていた 「お帰(かえ)り。」と迎(むか)える 変わらぬ笑顔 いつも僕の心を包んでいく 「ありがとう。今まで育(そだ)ててくれて。」 弱く震える手を最後に 握(にぎ)った 母の手を引きながら 夕暮れを歩いた