遠い過ち なぞる海月 羽が回り 静けさを深め 大きな月が きみを描く わずかな隙間 傾いた鉄柵 出口を連れ去る 交差する背骨 名前、呼ぶ声 うるんだ猫目 不意に刺さる棘 こぼれる滴 溶け出す異物 月明かりが照らし出す 身を囲う張りぼて 千切れた硝子 這い寄る蔦 朝を待たず 空になる器 床を塗らす 足跡たどる 扉ふさぐ 脆弱な画びょう 鈍くなる感情 交差する背骨 名前、呼ぶ声 うるんだ猫目 不意に刺さる棘 こぼれる滴 溶け出す異物 月明かりが照らし出す 身を囲う張りぼて 下りない跳ね橋 なぜ抜けだせない 障壁を減らし 見渡した世界 本当は知っていた どこまでも続く きみのいない世界 交差する背骨 名前、呼ぶ声 うるんだ猫目 不意に刺さる棘 こぼれる滴 溶け出す異物 月明かりが照らし出す 身を囲う張りぼて 身を囲う張りぼて いつもでも待ちぼうけ 終わり