『今宵教会(エクレシア)へと誘うのは、たった一人の母親に蒸発され、行き場を失った少女。 心配して同行を望むのは、唯一の友人であり幼馴染でもある優しい少女。 手を取り合って歩いてゆく。 その先には、望む場所がきっと見つかるはずだから———』 静謐な森の中横たわる 少女の涙は枯れ 行き場もなく差し伸べられた 細い声にすがって 誰よりも傍にいたクルファ その瞳に映る現実が 優しいものではなくても 私が護るから 星降る夜に揺れた 絹(しぼう)の陽炎 煌く中空(そら) 数え切れぬほど 丘を越えて目指した 月音辿るように 私には精霊を視ることが なぜだかできないまま けど気配は確かにあって 存在だけ理解った(わかった) 誰よりも親切なエルザ 繋いだ手はいつも優しくて まっすぐ純粋な想い 心に痛かった 星降る夜交わした 小さな約束 忘れないよ 遠く離れても 同じ空を見上げて 必ずまた会えると…… 『険しい旅の果て、二人は白の教会(エクレシア)へと辿りつく。 ここでなら生活に困窮することもない。 周囲の人間達から同情的な視線を向けられることもない。 やがて訪れる別れの時——— また会える、遊びに来るからと約束するエルザ。 けれど、クルファの心はそんな約束を素直に受け止められないほどに、歪んでいて……』 どこで歯車狂って 廻りはじめたのだろう? 罅割れたモノは脆くて 音無く崩れた…… 嗚呼…嗚呼! 星降る夜に揺れた 絹(しぼう)の陽炎 煌く中空(そら) 数え切れぬほど 丘を越えて目指した 月音辿るように 「優しいふりをして自己愛を満たして、幸せなことでしょう。 私はここで生まれ変わる。視える者と視えない者。 私はあなたとは違う。———違うんだ」 『少女の目に映るもの全てが歪み始めていた。 生きていくということは、苦しくて……恐ろしくて。 前と同じようには、もう笑えないだろう。 失ったものの大きざに気づいた時、少女は何を想うのか……?』