[00:00.00] 作曲 : ピクセルビー [00:00.101] 作词 : 少女病 [00:00.303] 唯一無二の存在 常に昼夜を共にしていたふたり [00:10.251] 些細な諍いなどは、乗り越えられる程に 仲睦まじくみえた [00:21.722] 微笑ましくも悲しいその関係性 [00:27.471] それはか細い薄氷の上に成り立って [00:35.865] だからこそとても美しいものにみえて…… [00:44.448] “優しい森の優しい獣” “孤立を選び後悔したルクセイン” [00:53.289] 代わりなんてなくて だからこそ寄り添い合って [01:01.673] 星に 願ってみた [01:05.647] 明日のことなんて見えないけど [01:11.291] 「ずっと二人が一緒にいられるように」 [01:19.805] 何度だってそう繰り返したんだ―――― [01:31.002] 「崩壊は唐突に。終わりは想いを無視して酷薄に訪れる。 [01:36.681] それは、黒狼が躊躇うのを強引に説得し、 [01:40.300] 別の集落を襲っている最中のこと。 [01:43.561] 少年が手慣れたように金目のものを漁っているところを、 [01:47.451] 屈強な衛兵に取り押さえられてしまう。 [01:50.868] 同じことを繰り返すうちに、いつしか周辺には黒狼への警戒情報が行き渡っていた……」 [01:58.849] 現実感の乏しい 止まってみえる世界 [02:06.603] 友を解き放とうと 駈ける黒狼 [02:13.450] けれど心根の優しい彼に 衛兵を傷つける勇気などなく [02:21.731] 体ばかりが大きくて無力な自分を責めた... [02:28.717] 業を煮やしたルクスが叫ぶ 焦燥と恐怖 不安に顔を歪めて [02:39.011] 「早くこいつらを殺せ!」 [02:42.349] 彼と出会う前繰り返し見た 人間のその表情 [02:49.675] ルクセインのそんな顔だけは見たくないと思っていたのに [02:57.971] 黒く滾る 矛盾の絡まり合う物語を [03:05.523] 強く掻き抱く その最期がそこまで見えてしまっていても [03:17.959] 「黒狼は焦り、少年を拘束する衛兵達に無謀にも飛びかかる。 [03:23.433] そこに確かな策などなく、ただひたすらに、 [03:27.195] 夢中でルクセインを守るためだけに。 [03:30.308] けれど、それは最初から見透かされていたかのように。 [03:34.489] 黒狼は、衛兵が構えていた長槍に無惨にも突き刺されて―――」 [03:40.807] 日々は満たされていた [03:45.950] 不器用な少年 口には出さないけれど [03:52.702] 見えないところで支え合っていた二人 [04:00.012] 幸せな物語 その道筋はどこで見失っただろう... [04:10.415] もう取り戻せない どれだけ願ったとしても [04:33.879] 流れ出る血は正視に絶えず よろめきながらも [04:41.415] 親友の元へと辿りつく黒狼 静かに優しく少年の頬を舐めた [04:52.904] それは出会ったときと同じように [04:56.839] 変わらぬ暖かさで けれど変わり果ててしまった姿で [05:03.831] そして生きも絶え絶えに呟いた [05:07.645] 「僕を怖がらないでくれて友達になってくれて... [05:15.365] ありがとう。とても嬉しかったよ」 [05:19.976] 「黒狼は怪訝そうな衛兵に向かって唸り声をあげ、 [05:24.567] 残された力を振り絞って叫ぶ。 [05:28.439] 『そいつはさらってきたガキだ。 [05:30.656] 足を引っ張りやがって……早く食い殺してやればよかったぜ』 [05:36.293] 黒狼はその言葉を最後に、槍で再び一突きされ倒れ伏す。 [05:42.833] ルクセインは絶句するように唇を震わせ、 [05:47.103] なぜ、と瞳だけで問いかけていた。 [05:50.931] 黒狼は静かに笑み、そのまま言葉もなく、絶命する」 [05:57.753] 黒く滾る 短くただ儚い物語の [06:05.416] 散り際は淡く 流星のような速度で [06:12.654] 傍らにもうひとつ取り残された ルクセインの物語はまだ終わらず [06:27.856] 悲痛に傷抱え これからを生きる [06:45.511] 「黒狼は途中から少年の意図に気付いていた。 [06:50.314] 自分という存在を利用して悪事を重ねていたこと。 [06:55.472] けれど、出会った瞬間の純粋な喜び。 [06:59.634] 心許せる友達と過ごす時間の幸福感は黒狼にとって [07:05.200] あまりにも大きすぎて……それは決して、偽りのものとは思えなくて。 [07:12.745] ルクセインは動かなくなった黒狼に抱きつき、空を仰いで慟哭する。 [07:20.245] 取り返しのつかない自らの過ちに気付いて。 [07:26.010] 二人で見上げていた星空。今はそれすらも錆びついて。 [07:32.625] 壊れかけてみえていた」 [07:36.455] 「その叫びは果てることなく。けれど、きっともうどこにも届かない」