[00:01.08]「未完幻想トロイメライ」 [00:11.08]作曲∶RD-Sounds [00:25.08] [00:27.08]「魔女に双子の兄を連れ去られ、 [00:30.62]その時の恐怖から声帯をも奪われた少女。 [00:34.40]声の出せなくなった彼女を目の当たりにした魔女は大いに喜び、 [00:40.42]気まぐれに命だけはとらずに生かし続けていた……」 [00:44.53] [00:48.33]泣き腫らした瞳には 幾度の夜が過ぎ去った現在も [00:56.69]あの日が網膜に薄く焼きついてた [01:05.17]家族に守られて 狭く優しいセカイに生きて [01:13.53]頼れる存在を失った少女は [01:22.68]沈黙の中で なけなしの勇気を持って [01:31.12]神にではなく自らに祈る―――― [01:39.22]幸せな記憶の詰まった家を 有無を言わさず [01:47.62]厄介払いだと家主に追い出され [01:55.94]眠る場所さえなく 手を差し伸べる者もいなくて [02:04.33]過酷な現実に打ちのめされるけど [02:13.42]「生きてさえいれば、必ず機は訪れる」、と [02:21.90]兄の言葉に想い馳せ涙拭う [02:29.88]仰ぎ視た深緑の夢 今は遠い幻想に消えて [02:38.34]もう二度と戻れぬ場所に 追憶を捧ぐ... [02:47.03]『この瞬間もどこかで。ねぇ、心配してるかな?』 [02:51.53]自分のことよりも 私の身を案じてる風景が [02:59.31]目に浮かぶようで胸が ah... 絞めつけられて―――― [03:09.31] [03:10.93]「他に親類もおらず、頼れる者もいない。 [03:15.48]そんな少女が一人で簡単に生きていけるほど、 [03:19.04]この世界は優しくできてはいない。 [03:21.82]ましてや声の出せない彼女には、 [03:25.65]意志の疎通さえも難しくて……」 [03:29.08]故郷を離れ 一人では初めてゆく大きな街へ [03:38.07]不安抱え それでも負けないと決めて [03:46.81]どうにか拾われたのは 富豪の家での下働き [03:54.81]屋根の下眠れるだけで 涙が零れた―――― [04:03.05]『私、頑張ってるよ。なんとかやれてるよ』 [04:07.08]過保護な両親と 私を庇って囚われた兄の笑顔を想い [04:17.50]眠り...仰ぐ深緑の夢 今は遠い幻想に消えて [04:27.25]もう二度と戻れぬ場所に 追憶を捧ぐ... [04:35.57]『きっと逢いに行くから、守られてばかりの私だったけれど……』 [04:43.22]少女はその唇を噛み締めて 淡い決意に枕を濡らした―――― [04:58.67] [05:10.76]「ある朝、水を汲みに井戸にいくと、 [05:13.90]見たことのない二人が隠れるようにして体を拭っていた。 [05:19.16]僅かだけ垣間見えた彼らの素肌には、 [05:23.45]確かに魔女の烙印があって……」 [05:26.74] [05:28.65]「ねぇ、見られてるっ!」 [05:30.54]「くっ、行くぞっ」 「……っ」 [05:34.43]「少女は必死に引き留めようとするものの、 [05:37.37]声が出ずそれも叶わない。 [05:39.93]仕事を放り出し、無心で二人を追いかける。 [05:44.10]きっと彼らは兄と一緒に、 [05:47.98]魔女の城に囚われていた人達に違いないと確信して。 [05:52.40]離れ離れになってしまった兄の事が聞けるかもしれないと、 [05:57.56]期待に胸を膨らませて……」 [06:00.53] [06:03.53] [06:06.53]【 おわり 】