作曲 : ピクセルビー 作词 : 少女病 ミーアは心臓の病気で 先が長くはないと告げられて 両親からはあきらめられてか放任されていた お医者様は言う。 「人は痛みに鈍感になるほどに他者が持つ痛みにも気付けなくなる。 痛みを感じなくなったら—— 優しさも失くしてしまう。 だからね、痛みと、弱さと正面から向き合い優しい人になりなさい」 難しい言葉だったけれど 今ならわかる気がするんだ 少しずつほんの少しずつ 成長できているのかな? まだ私、生きていられるのかなぁ? 冷たい雨の日に ミーアが拾ったのは 捨てられた お医者様に診てもらうと この子も心臓が悪く その上脚も正常ではなく 走ることができない 「だからきっと、捨てられていたのかも」 と言い辛そうに肩を落として ミーアは歌うことが好き 決して上手いとは言えずに両親には 煙たがられてしまうけれども 「大きな劇場に立って歌うのが夢」だと笑った 誰も聞いてはくれないけれど 子犬【ami】だけはいつでも隣寄り添って その歌を聞いてくれた 『同じ弱さを持っているからこそ、同じ優しさを与え合える友達になれた 共に走ることはできないけれど、一緒に歌うことならできた。 不意に流れる涙は、舐めて拭ってくれた』 ある日ミーアは 急な発作で意識を失くしてしまう 周囲に人の姿はなく 助けも求められないままに 決して走れるはずのない 子犬【ami】はお医者様の元へ駆けていった 夢中で足を襲う痛みなど 存在しないかのように 一命をとりとめたミーア 目を覚ましてベッドの横に いたのはお医者様と 目を赤くした両親だけ 「——あの子【ami】はどこ?」 「ねぇ、あの子はどこにいるの?病室には入れないの?」 『お医者様は目を伏せて教えてくれた。 あの子は助けを呼んだ後で、 心臓の病気のせいで死んでしまったのだと。 足が折れても走って、走って。 それでもあなたのことを助けたのだと』 『少女は泣かなかった。 けれど、この痛みから逃げるわけではない。 泣かずに受け入れながら、感じながら。 その上で精一杯生きようと誓った』 「ごめんなさい、ミーア。 “ 愛しすぎて 貴方を失う時のことを考えて、 臆病になりすぎていたの。 これからはずっと傍にいましょう。——いて、くれる?」 『崩れ落ちて謝る両親に少女はただ微笑んで、 子犬と一緒に練習した歌を披露してみせた。 それはきっと、世界で一番優しい歌で——』