「嘗て権勢をふるった若き亡国の王は、 力弱き民を従えて巨大な塔を建設していた。 星に手が届く程の高さまでその威容が達した暁には、 神に並ぶ立場で対話を果たしたいと願って――――」 犠牲の鍵と 凝結せし偽聖の顎門 神の領域踏み込んだ 不死なる亡国の王 紅蓮に堕ちて 乖離する蒼の継承者 無式の意識 青嵐に身を委ねた 斬り刻め いつか眺め失ったその幻想を 乞われ壊れ奪った最愛の生命に 虚ろな意思を死を捧げるように 抗え蒼き異端者よ【heretic】 血に染まった運命に躍れ 交錯する永劫と虚無の 狭間に永遠に囚われて 従え紅き無秩序に【Chaotic】 戦火の果て粉塵に穢れた はじまりの場所 呪われたこの地で天へと叫べ 狂気の継承者【successor】 変わり果て朽ちた風景を背にして 苦痛の仕儀と 悲痛な声音はまるで死人 全能感の偽装飾【veil】は時を経て剥がされた ルールとレーレ 幼き双子の殉教者 尊きその名を あの聳え建つ塔【Babylon】に刻んで 本当に欲しいモノは 何一つ手に入らずに ついに終に失意に蝕まれた王の 奇妙な暴走は矜持を捨てて 打て紅蓮を纏って 導火線に業火を燈して 名も知らぬ神の御許へ強く 撃ち抜け射抜け天へ向け 偽りを奏でよう 血の呪いをここで終えるために はじまりの場所 蒼を失いし地で想い焦がせ 狂気の後継者【successor】 「……さよなら」 終わりゆくこのセカイに 流れゆく血の涙に あの日壊した美しい永遠に―――― まるで満たされない感情のまま どれだけ血を見ようと 不死の牢獄に光が指すことはないから これほどに高く塔を創った 真実の理由は 愛する妹達のいる場所に辿り着くために―――― 撃て紅蓮を纏って 導火線に業火を燈して 名も知らぬ神の御許へ強く 撃ち抜け射抜け天へ向け 偽りを奏でよう 血の呪いをここで終えるために はじまりの場所 蒼を失いし地で想い焦がせ 狂気の後継者【successor】 変わり果て朽ちた風景を背にして ――――多分、ささやかな絶望を抱えて 「塔が落成し、彼がその頂から天を見上げたその刹那、 神の怒りが雷鳴に轟いた。 巻き起こったのは、居合わせた者が“世界の終わりか”と 祈ることしかできぬほどの局地的な天変地異。 塔は不敬を償うかのように崩壊し、 不死であるはずの王は眩い光と共に消え去る――――」 「ふふっ、この結末を望んでいたのね? でも、本当に死ねたのかなぁ……?」 終わり