辺境の地ギョレメで 平和維持活動に 従事していた小隊が 消息を絶った 行方不明になったのは 国籍も人種も性別も違う 五人だった ──そして 生還したのは たったひとりだった 『リヴァイアサン』「Leviathan」 それは──終末を知らせに降臨する獣の名だ 誰も疑わぬ『日常』という虚構の中で 靜かに『歯車』は廻ってゆく 誰も出られぬ『日常』という檻の外で 密かに『現実』は換わってゆく 誰も望まぬ『終末』という舞台の上で 靜かに『歯車』は廻ってゆく 誰も気付かぬ『終末』という運命(さだめ)の下で 密かに『現実』は換わってゆく 同じ時刻に別々の場所で 死んだ双子の《浮浪者》(ホームレス 退院後何故か黑子の位置が 鏡面対称の《法務大臣》(ほうむしゃ 『歯車』は廻り…『現実』は入れ換わる 何かが動き出そうとしている 《千年紀》(ミレニアムmillennium)が避けて通った街にも…風に乗って闇の匂いが漂い 見てはならない者たちが蠢く きっとこんな夜だ…あの『男』が帰ってくるのは ──ID… 脳外科… DR.ザグー 人体を中心から切断した半身を それぞれ復元したのが《鏡人間》(ミラーヒューマン 医学の起源は魔術であると 《脳外科の権威》(ザグー)はメスを光らせた 拘束された《女》(さつき)は為す術もなく 帰らぬ《男》(ひと)の名を叫ぶ その時ドアを蹴破って 躍り出た影 呼ばれた男が今そこに 共に駈けつけた 恩師《菜々山》の 銃口が火を噴いた ほら…『男』は帰り…『現実』を入れ換える 彼らの物語が始まる 『リヴァイアサン』「leviathan」 ──それは終末を知らせに降臨する獣の名だ いくつもの獣や魚の身体からなる 天地創世より存在するこの終末の獣は 来るべき最後の審判の日 救い主の手によって捕らえられ その巨大な肉は聖なる人の食物として 厳かに献上されるという ──リヴァイアサン、終末を告げし