Milos(Μιλος): the blind poet and his disciple 「おっせぇぞ、爺、置いてくぞ」 「ほっほっほっほ・・・」 少年の今は旅の空 「言の葉を操り 森羅万象を詠う」 賢人の詩も上の空 「詩とはそもそも神の御業じゃ」 幾年も仰ぐ高き空 「Elef、創世の三楽神を知っておるか」 老人は嗤う蒼き空 「Ρυθμός(Rythmos)、Μέλος(Melos)、Ἁρμονία(Harmonia)の三神じゃ」 「そんな一度に言われても覚えらんねぇよ……」 「ほっほっほっほ・・・」 少女を尋ね幾千里 「万物の創造主たる母なる者……」 海原渡り征く海里 「Ρυθμός(Rythmos)はミラ、Μέλος(Melos)はモイラと呼んだそうじゃ」 彼女を探す侭山里 「前者はパイロン、後者はアルタラーイコンと呼ばれ」 高原臨む彼の郷里 「それこそが言の葉の起こりと言われ、ごほっ、ごほっ・・・」 「大丈夫かい爺さん?」 「ああ・・・」 「今日はこのあたりで休もうか」 「はぁ…ほっほっほ・・・」 天(そら)の隨に 咲ける星屑 運命(かぜ)に惑う一片 寄り添う双星 「あれぞ…お主の星じゃ……」 嗚於・・・故郷(Άρκαδία)よ 還らざる夢 倖せだった 季節達よ 幼き日々の 残照が尚 未だ眩く 胸を刺す 二つ並みんだ 野晒しの墓標 朽ちた花飾り 莽ったのは誰ぞ? 「あぁ…父様…母様…!」 「気を落とすでないぞElef。  わしはこの先、雷神殿(Brontesion)に行こうと思うておる。  師弟ごっこは此処で終いじゃ。」 「お師匠!」 「さぁ、お立ちなさい友よ。  お主は、お主の地平線を目指して!」 青年は今も旅の空 「Elef、困ったときはレスボス島を訪ねなさい」 詩人の島は遠き空 「わしの旧知の友が力になってくれるじゃろう」 聖女を尋ね復千里 「Μακεδονια(Macedonia)とΘρακια(Thracia)は今危険な情勢じゃ」 恩人と別れ復海里 「戦を避けるには海路を行くが良いじゃろう」 「友よ、己の信じた道を行きなさい。  死すべきもの、我は詠おうぞ。  Elefseia…愛すべき友を…戦いの詩を…」 「おい知ってるか?Anatoliaの武術大会の覇者」 「弓の名手、Orionだろ?」 「そう、そのOrion。  何と蝕まれし日の忌み子だからって捨てられた王子様だったらしいぞ。」 「へぇ、世の中一体どうなってるんだか。」 「その真意は、 「「"Moiraのみぞ知る"――」」「ってか?」