夜の中で朝を探す僕を見て、 君は『滑稽だ』と笑いながら、ピアスの穴を隠した。 だんだん沈んでいく。寒がりな僕の手は届かない。 同調するかのように、電話が震えだす。 ああ、面倒だ・・・・・・。もう聞きたくない感情むき出しの罵声。 『少し休みましょう』 悪魔が囁いた。 ねえ、優しい声を聞かせてください。 ユーチャリスの花の様に。 君は森の中へ消えて、蜜を探してる。 それは、僕の知らない君だった。 ひねくれた人間の猜疑心さえ、 君はいとも容易く消し去ってしまった。 望まない速さで鼓動を刻む心臓は、 あの時と同じように、思考を鈍らせていく。 存在否定衝動。無限ループにはもううんざりだ。 表情は歪むばかり。時計も脈を打つ。 『さあ、密室で毒リンゴをくれた君の望み、 叶えてあげましょう』 強がって言うけど。 間接照明さえ目に刺さるから、 逃げるように潜り込んだ。 きっと、誰も知らない君がまだ居るのだろう。 去っていく君は、優しく手を振る。 出会った頃のような笑顔だけで、 何故か僕の目には、涙が浮かんでた。 信じてみる事にしたよ、もう少しだけでも。 一番嬉しかった君の言葉を。 君は森の中へ消えて、蜜を探してる。 ただその時その時の感覚で、 君は生きてるから受け容れよう。 境界線の上で踊る君を見ていた。