毎日誰かが死んでる 普段、何気なく聞こえてくるニュースは 嫌でも耳に入ってきて それは当たり前で でもリアルじゃない 誰も自分に関係のない意志を深く考えたりしないし 考える必要もない今日 自分がその対象になるまでは 君の長い髪が風に揺れる午後だった 学校からの帰り道を二人で歩く 君の手は小さくて 今にもすり抜けていきそうだった 「またね」君がつぶやいた 「またね」僕が手を振った 「サっちゃん…」僕がすぐにそう呼んだ 「なーに」君が不思議そうな顔で 「何でもない」 引き留めておけばよかった その時 何故かそんな気がして 瞳を覚ます 泣いていた 君がいなくなってからよくこの夢を見る 僕の一日が始まる ただ過ぎていく時間 あの日の君の 小さな願いを叶えられなかった僕は 愛するものをなくした僕は 人形のようだった それでも 毎日あの日と同じ道を通って あの踏切に行った 遮断機の下には 君の好きだった花と線香を供えた 生まれ変われるなら もう一度サっちゃんに会いたいよ 心の中で話した 君は あの踏切で事故にあって 遠くへ行ったんだ 痛かったよね 苦しかったよね なんで君じゃなきゃいけなかったんだろう なんで僕が変わってあげられなかったんだろう あの日 君が「またね」って言ったから また会える気がして 今でもまだ 君のものは全部そのままにしてある 季節はこんなに色を変えたのに 僕の時間だけが止まってるみたいに静かだった 君と過ごした毎日が幸せだった そんな毎日が来ることが当たり前だった そんな僕の当たり前は当たり前なんかじゃなかった それからあの踏切の近くで事故があると みんなはサっちゃんの幽霊だっていうけど もし君に会えるなら 何でもいいよ サっちゃん