[00:00.35]その日は随分と平凡で [00:03.08]当たり障り無い一日だった [00:05.54]暇つぶしに聞いてたラジオから [00:07.88]あの話が流れ出すまでは [00:10.37]「非常に残念なことですが、 [00:12.83]本日地球は終わります」と [00:15.39]どこかの国の大統領が [00:17.51]泣きながら話をするまでは。 [00:48.42]窓の外は大きな鳥たちが [00:50.76]空覆い尽くしてく渋滞中 [00:53.19]三日月を飲み込んで [00:54.90]どこかへと向かってる [00:57.64]やりかけてたゲームはノーセーブ/ [01:00.35]机にほぼ手つかず参考書 [01:02.61]震える身体をいなす様に [01:04.99]すぐにヘッドフォンをした/ [01:07.53]不明なアーティスト項目の [01:09.73]タイトル不明のナンバーが [01:12.07]途端に耳元流れ出した [01:14.90]「生き残りたいでしょう?」 [01:16.67]蠢きだす世界会場を [01:18.98]波打つように揺れる摩天楼 [01:21.41]紛れもないこの声はどう聞いても [01:23.95]聞き飽きた自分の声だ [01:25.99]「あの丘を越えたら20秒で [01:28.33]その意味を嫌でも知ることになるよ。 [01:31.16]疑わないで。耳を澄ませたら20秒先へ [01:46.69]交差点は当然大渋滞 [01:49.04]もう老若男女は関係ない [01:51.25]怒号やら赤ん坊の泣き声で [01:53.78]埋まっていく [01:56.27]暴れだす人 泣き出す少女 [01:58.49]祈りだした神父を追い抜いて [02:00.80]ただ一人目指すのは逆方向 [02:03.31]あの丘の向こうへと [02:05.89]ヘッドフォンから [02:07.83]「あと12分だよ」と告げる [02:10.31]このまま全て消え去ってしまうなら [02:13.07]もう術は無いだろう [02:14.81]ざわめき出す悲鳴合唱を [02:17.14]涙目になってかすめる10秒 [02:19.96]疑いたいけど誰がどうやっても [02:22.22]終わらない [02:24.30]「駆け抜けろ,もう残り1分だ。」 [02:26.64]その言葉ももう聞こえない位に [02:29.65]ただ目指していた丘の向こうは [02:32.16]すぐ目の前に [02:35.03]息も絶え絶えたどり着いたんだ [02:37.23]空を映し出す壁の前に [02:39.81]その向こう白衣の科学者たちは [02:42.54]「素晴らしい」と手を打った [02:44.74]疑うよ。 [02:45.71]そこから見る街の風景は [02:47.91]まるで実験施設の様でさ [02:50.52]「もう不必要だ。」 [02:51.92]科学者は片手間に爆弾を投げた [02:55.17]箱の中の小さな世界で [02:57.45]今までずっと生きてきたんだなと [03:00.56]燃え尽きていく街だったモノを [03:03.03]ただ、呆然と見る耳元で [03:05.39]ヘッドフォンの向こうから [03:07.31]「ごめんね」と声がした