宇佐見 秋彦  多分、孝浩がこの世で一番大切なものは、 弟なのだと思う。 高橋 孝浩   ウサギ、ごめん。 これ破かずに開くことってできる? 宇佐見 秋彦  折り紙で作ったバラ? へえ、すごいな。 これを一枚の紙で作ったのか? 高橋 孝浩   そう、美咲が作ったんだ。 でもすごく複雑で、 ちょっとでも開け方間違うと、 破けてしまいそうでさ。 宇佐見 秋彦  弟が作ったのか? すごいな! 高橋 孝浩   そうだろう! あの子、手先がものすごく器用でさ~ 宇佐見 秋彦  へえ~  宇佐見 秋彦  ばかな弟だけだと思ったら、 結構やるな! 宇佐見 秋彦  せっかく作ったんだから、 このままにしとけばいいじゃないか? うん?孝浩、 この折り紙、 テスト問題らしきものが印刷されてるんだが、 ひょっとしてこれ、 テスト用紙で作ったのか? 高橋 孝浩   そうなんだよ! 点数を見るためには、 開封しないといけなくて、 このまま開けにくくして見せたがらないなんて、 きっと百点なんだと思うんだよ! おれを驚かせたようとしてさ~ 宇佐見 秋彦  というかこれ、 絶対に零点だろう! そこまでして見せたくないなら、 いっその事テスト捨てろよ弟! 高橋 美咲   しかし、 この難解なパズルを攻略するため、 何が何でも破かずに開封しようと 密かに燃えてしまうウサギであった。