ワンピースの森をくぐり コートの谷をとびこえて 片手にコーラ 片手にタバコ 高島屋の外にでると 熱いメタンガスの 海がおしよせ あゝ風邪をこじらせた 人から うしろ指さされ 仕事から追い出され いつまでも売れ残りになってはと 人並みの やり方で愛らしく チャンスさえあれば しゃしゃりでる そんな自分には どうしてもがまんできなかった ふらふら うろつきはぐれ パン屋の前にさしかかると スポーツシャツの若者が スポーツカーから首をだして ドライブに誘った 二人の仲間と サングラスが よく似合ってた 琵琶湖のロックコンサート 比叡山のビアガーデン 涼しい所で汗流そうと 日焼けした手で私をたぐりよせ 一気に町をはなれ ハイウェイ 買物かごを おきっぱなしで 疲れるまで踊りまわり 眠りこけるまで飲み続け いつしか山に城がたち 湖水に浮かんだ ヨットは すすみ 赤いリンゴもくさり 時はまたたくすぎていく サイレンが鳴りつづけ ベッドからころげおちると 水たまりにしわだらけの顔が 高島屋で別れた 母の面影 暗い空をみ上げて こと絶え 山火事は血のように赤かった ころがるように坂をおり 焼けこげの帽子をぬぐと ガラスが 飛び去っていく 真新しい塔婆の間をぬって やがて 静かな ぬくもりに包まれ 享年19身元不明行倒れ 制服のエレベーターガールが くりこむ善男善女に 最敬礼 まばたきもせず 大量殺りく スカートにまつわる その風は 最新型エアコンから流される あの文明のため息