[00:06.39]あの子はいつも 一人ぼっちで、 [00:12.37]横切る電車をながめている。 [00:17.67]小さな身に似合いもしない [00:24.03]影を背中にしょって。 [00:30.21]七時半着の電車が通ると、 [00:35.97]あの子はかけ足でふみきりまで。 [00:41.44]ふみきりの向こうではあの人が、 [00:47.78]疲れた顔で笑っている。 [00:54.17]あの子はその日の出来事を、 [01:00.00]笑顔でいくつも話し始める。 [01:05.40]「先生はとても優しいよ。」 [01:08.43]「今日はあの子と遊んだよ。」 [01:11.87]あの人は「よかったね。」と、 [01:14.20]頭をなでてくれた。 [01:18.38] [01:21.31]あの子は一人ぼっちで横切る電車をながめてる [01:26.85]もう帰ることの無いあの人をひたすら待ち続け [01:32.99]遮断機の向こうのあの人の笑顔忘れられず [01:38.82]そこから一歩も動きたくはなかった [01:44.51] [01:44.53]もう笑えない、 [01:47.58]もう笑えない。 [01:50.51]なにも聞こえない。 [01:53.36]なにも欲しくない。 [01:56.59]もう笑えない、 [01:59.43]もうあの人は帰ってこない。 [02:09.36] [02:11.64]もう笑えない、 [02:14.52]もう笑えない。 [02:17.61]なにも聞こえない。 [02:20.35]なにも欲しくない。 [02:23.65]もう笑えない、 [02:26.61]もうあの人は帰ってこない。 [02:35.37] [02:35.65]みんなあの子に手をさしのべる。 [02:41.58]同情というとても冷たい手。 [02:47.50]なにを言われても、 [02:50.39]なにを与えられても、 [02:53.84]彼の部屋の鍵は閉じたまま。 [02:59.77] [03:27.98]あの子はいつも 一人ぼっちで、 [03:33.90]横切る電車をながめている。 [03:39.41]小さな身に似合いもしない [03:47.60]影を背中にしょって。