[00:00.69]夏風がノックする窓を開けてみると [00:06.26]何処からか迷い込んだ鳥の声 [00:12.94]読みかけの本を置き [00:16.26]「何処から来たんだい」と笑う [00:19.56]目隠ししたままの午後三時です。 [00:25.96]世界は案外シンプルで [00:28.86]複雑に怪奇した私なんて [00:33.24]誰に理解もされないまま [00:38.87]街外れ、森の中、 [00:41.94]人目につかないこの家を [00:45.13]訪れる人などいない訳で。 [00:49.49]目を合わせないで! [00:52.72]固まった心、一人ぼっちで諦めて [00:57.67]目に映った 無機物(もの)に安堵する日々は [01:04.19]物語の中でしか知らない [01:07.31]世界に少し憧れる [01:10.45]ことくらい許してくれますか? [01:17.42]淡々と流れ出した [01:19.98]生まれてしまった理不尽でも [01:24.12]案外人生なんで。私の中じゃ 。 [01:29.83]ねぇねぇ、突飛な未来を想像して [01:34.34]膨らむ世界は今日か明日でも [01:40.14]ノックしてくれないですか? [01:44.72]なんて妄想なんかして [01:47.53]外を眺めていると [01:50.65]突然に聴こえてきたのは喋り声 [01:57.06]飲みかけのハーブティーを [02:00.19]机中に撒き散らし [02:03.02]「どうしよう???」と [02:04.64]ドアの向こうを見つめました。 [02:08.28]「目を合わせると石になってしまう」 [02:13.19]それは両親に聞いたこと [02:16.54]私の目もそうなっている様で [02:21.49]物語の中なんかじゃいつも [02:25.79]怖がられる役ばかりで。 [02:29.10]そんなこと知っている訳で。 [02:35.80]トントン、と響きだした [02:38.56]ノックの音は初めてで [02:42.72]緊張なんてものじゃ足りないくらいで。 [02:48.64]ねぇねぇ、 [02:49.59]突飛な世界は想像しているよりも [02:55.58]実に簡単にドアを開けてしまうものでした。 [03:27.03]目を塞ぎうずくまる姿に [03:30.64]その人は驚いて [03:33.50]「目を見ると石になってしまう」と言うと [03:38.07]ただ笑った。 [03:39.98]「僕だって石になってしまうと、怯えて暮らしてた [03:46.20]でも世界はさ、案外怯えなくて良いんだよ?」 [03:54.29]タンタン、と鳴り響いた [03:56.95]心の奥に溢れてた [04:00.91]想像は世界に少し鳴り出して [04:07.20]ねぇねぇ、突飛な未来を教えてくれた [04:11.91]あなたがまた迷ったときは [04:16.93]ここで待っているから。 [04:32.43]夏風が今日もまた [04:35.40]あなたがくれた服の [04:38.46]フードを少しだけ揺らしてみせた。