寒い夜の事でした こんな静かな夜が僕らは大好きで [下]を覗くのです 静かな夜なのにそれを邪魔する奴がいる [下]を蠢くそれは 人間という奴だ 人間はずっと休まない 夜中になっても働く 彼らが操る汽車 その沿線に立つ 二つの工場が今日も ずっと言い争ってる どちらの煙突の煙がより高く上がるか 吐き出される煙 それを肺に吸い込んだ 新聞売りの少年が病気で倒れた 少年は貧しいから病院になど行けず 家の布団の中で胸を押さえ咳き込む 少年は木造アパートの窓から 僕らを見ていた 次の日の夜の事 あの少年の姉は弟の治療費の為 仕事を増やしたようだ 人間はずっと休まない 夜中になっても働く 彼女が選んだのは紡績工場のバイト その工場の横には製紙工場があって 今日も争うように煙を吐き続ける 黒煙は高く上がる 僕らのいる空まで それは黒い雲となり工場の上を覆う 少女の働く工場からじゃ 僕らは見えない 人間たちは僕らに[星]という名をつけて 祈ったり願ったりするけど 僕らに奇跡なんて 起こせるわけないだろう? 僕らはただ空から 見ているだけ 少年は貧しいから病院になど行けず 少女は治療費の為工場で働く 黒煙は高く上がる 僕らのいる空まで