冬解:黄昏館に到着いたしました 天白様 天白:ああ もう着いたか 冬解:天白様 ご気分でもすぐれませんか お顔の色が少し 天白:いや 何でもない ちょっとした考えことだ 冬解:そうで...ございますか 裏切りは僕の名前を知っている オリジナルドラマCD ため息理由 の 綾:お待ちしておりました 天白様 天白:ああ 出迎えご苦労だね 綾 綾:私などに労いの言葉 恐縮でごさいます あら 冬解お兄様?お兄様もご一緒だったのですか 冬解:ああ 綾 早速だが 橘殿は居られるか 綾:はい 先ほど資料を忘れたとかで自室にお戻りになられました またすぐにこちらへいらっしゃるとのことですが... 天白:そうか ならば私は一足先に書斎に行っていると伝えてくれ 綾:かしこまりました お兄様 何だか天白様はとてもお疲れのご様子ですね 冬解:ああ いつも様々な事柄に心を砕かれておられるが ここ二三日は特にため息も多くてなあ その理由が どうも今日の橘殿との話し合いにあるらしい それが気掛かりで黄昏館まで同行させていただいたんだ 綾:そうだったのですか 確かに今日は一段と物憂げの面持ちでいらっしゃいましたね では 私は少しでもリラックスしていただけるようなハーブティーをご用意いたします 綾:ああ 頼む 藤原:お?これは珍しい 執事さんじゃねぇの?黄昏館に何のご用で? 藤原:本邸の執事さんは本邸を離れられないじゃなかったっけ 冬解:天白様のお友で参りました 藤原:天白?あいつ来てんの 藤原:はい 冬解:また天白様に対して敬称も付けせず しかもあいつ呼ばわりなど... その無礼な態度一体何度申し上げれば直していただけるのですか 藤原:おー 怖っ はいはいはい...すみませんね すっかりみみたこですよ 冬解:でしたら 藤原:けど 俺も何度も言ってるが これは天白が容認してることなんだぜ 俺と天白の仲ってやつだからしょうがねぇんじゃねぇの 冬解:あなたは 橘:総帥~お待たせ~へへ~資料は揃ったよ~ あ あれ あ 藤原:おう~階段のほぼ天辺から転げ落ちやがった 何やってんだ 冬解:大丈夫ですか 橘殿 おけがは 橘:あ...いたたたた...ははは...大丈夫な気がするけどね 藤原:お前今度みたいだったぞ 橘:ひどいよ~その言い草 もっと医者さんらしいこと言ったらどうよ 冬解:そうですよ 何を不謹慎なことを...あなたは医者でしょう 藤原:ノープロブレム こいつ超頑丈だから 橘:ドクターの馬鹿 僕はこう見えてもベネチアンガラスより繊細なんだからね 藤原:ほら こんなことふざけるんだから 大丈夫だ 冬解:そうですね 冬解:こんな大量の本やファイルを抱えて階段をかかおりようとなさったら危ないですよ 一体なんですか この 橘:ああああ ありがとうありがとう 拾ってくれて本 藤原:なんだ?何かあんのか その本 先資料だとか言ってたな 橘:うん...それは言えないよ 総帥との話し合いに使うものだからね 冬解:天白様は何か大きな悩みをお持ちなのではないですか 橘:それもトップシークレットなんよね まあ この僕しか相談に乗れないみたいだから って 肝心の総帥は 冬解:書斎に行ってお待ちでございます 橘:あ そう 書斎ね じゃ 総帥が待ってるから 藤原:おい どういうことだ 天白の悩みって 何で橘だけにしか相談できないんだ? 冬解:それが分かれば苦労はしませんよ このことが気掛かりで今日はお友してきたんです 天白様はここ何日がため息ばかりつかれて あのご様子からことはかなり深刻 とても橘殿だけに解決できる問題だと思いません 藤原:うん...なるほど そういうことね 冬解:ここ暫く天白様は京都の本家での仕事が続きましたから 恐らくは本家でのご心労が大きな原因かと 藤原:いや 違うなぁ 天白は本家のお偉方の時の圧力に参るたまじゃない これはきっとプライベートの悩みだなぁ 冬解:プライベート?と...いうと 藤原:女だ 冬解:は?何を根拠に 藤原:ずっとため息ついてたんだろう それに 俺ぐらい天白のことを知ってるとなあ 大体考えてることは分かるんだよ 冬解:お待ちください 俺ぐらいとは 一体どの程度のことをおっしゃっているのです 藤原:あ 冬解:私は幼少の頃より天白様のおそばにおりました 途中で湧いて出たあなたのような輩より よほど天白様のことを見てきています 初めてお会いした時から現在に至るまで 天白様にはただの一度も女性の影はありませんでした その天白様のため息の理由が女性問題などであるはずがありません 藤原:分かってねぇなあ 天白は俺と大学で一緒だった時そりゃ女にまてまくってたんだぜ あんだけ女にモテて金も持ってたら 愛人の二人や三人囲ってても... あなた大学で天白様のご学友だったか知りませんが これ以上あの方を愚弄すると 藤原:というのは冗談としても 大人の男なら女の影があっても 不思議じゃねぇっつってんの 俺はあいつの親友として断言するね あれはプライベートの しかも女絡みの悩みだってな 失礼ですが いつどなたがあなたを天白様の親友であるなどと認めたのです 藤原:そんなもん 当人同士の認識の上に決まってんだろう 俺は親友 あんたはただの家令というわけ 冬解:そうですの?私は天白様の最もおそばにお使えしてきた執事 祇王のしきたりも知らず海外でふらふらし 天白様とのお付き合いも極々浅い怪しいお医者様には 到底ご理解いただけないことはたくさんございます 藤原:あんたは俺の知らない天白を何か知ってるとでも言いたいのか 冬解:当然です ですが 我が主の心のうちは口が裂けても申し上げられません 藤原:俺だって言うつもりないね 俺と天白の間の秘密は墓場まで持っていくつもりだからな 冬解:そんなもの本当にあるんでしょうね 綾:お二人ともどうされたのですか?大きな声をあげられて 冬解:あっ 綾:お兄様ともあろうお方が なぜ先生とお会いするといつもそのように感情的に 藤原:ごめんな 綾 俺が悪いんだ この人からかうと面白いぐらい反応が返ってくるから ついね 冬解:仕方なく相手をして差し上げているだけです 綾:お兄様 先生も...優秀のお二人が啀み合わずに手を取り協力し合えば もっと天白様を助けすることに繋がると思いますのに 藤原:啀み合うのも仲がいい証拠なんだよ 綾 まっ 今日の啀み合いの原因はその天白なんだけどね 綾:天白様がどうかされたのですか 藤原:お その手に持っているティーポット 天白に出すやつ?俺もついて行っちゃおう 藤原:俺は天白と橘の密会が気になる それなら やる事ってや一つでしょう 綾:あ あの 藤原:うん...どんなに耳を押し付けてもあんまよく聞こえないなあ やっぱドアを開けないとダメか 冬解:お待ちなさい 天白様の書斎まで来て何をする気かと思えば単なる盗み聞きではありませんか 藤原:何か文句あんの?なんだかんだ言っつつついてきたくせに 冬解:あなたが何をやらかすか心配だっただけです 藤原:と言っちゃって このドアの向こうで何が話されているのか気になりまくってんだ うん? ルカ:チッ 藤原:おい そこの 目があったりもかかわらず何事もなかったかのように厳しそう返し立ち去ろうとしている ルカ 冬解:お久しぶりでございます ルカ:俺に話し掛けるな 面倒事はごめんだ 藤原:おいおい 何で面倒事って決め付けるかな? ルカ:お前の日頃の行いを思い出して見ろ 藤原:俺たちが何してるか気になんない? 実は先天白が来てな この部屋の中である重要なことが話し合わてるらしい 恐らくユキ絡みだぜ ルカ:何? 綾:そ そうなのですか ? 冬解:綾 口から出まかせだ 藤原:気にならねぇか?気になるだろう ルカ:天白はまたユキに何かさせるつもりなのか 藤原:だからさ それを聞こうとしてんだけど このドアを開けないとよく聞こえねぇんだ けどルカ お前ならこの状態でも中の会話を聞き取れるだろう 聞いてみてくれねぇか ルカ:そんなことは簡単だが 本当にユキ絡みの話なんだろうな 綾:ああ...先生に唆されてしまいました 冬解:ユキ様のお名前出した方 卑怯なこと ルカ:橘も中にいるな 綾:まあ ドアの前にお立ちになっただけで中の声が聞き取れるのですか 藤原:どうだ ルカ 天白たちは女の話をしてるんじゃねぇか 冬解:いいえ 京都の本家に纏わるお話でございましょう ルカ:いや ユキの話をしている 抜かりはないとか 夏のカタログがとか 藤原&冬解:は 橘:って このカタログが僕一押しのブランド このテティベアのプリントが 天白:ほー なかなかいいじゃないか さすが橘だな 私の好みを熟知している どれもユキに似合いそうだ 橘:でしょうでしょう そんでこの二冊が夏用パジャマと着ぐるみのファイルね 総帥はどれがお好みかな? 天白:私はこのレッサーパンダの着ぐるみがいいなぁ ふさふさの耳としっぽがラブリーじゃないか 愛らしさがユキにぴったりだ 橘:うう~いいセンスしてる~総帥 それめっちゃおすすめ あっそうそう 夏と言えばって 浴衣と水着のカタログもご声聞だったよね ちゃんとご用意しましたよ 天白:うん 夏の海で魚と戯れるユキ 夜の花火の下のユキを思い描いて 入念に選ぶとしよう いい仕事をしてくれた 橘:はっ 天白:ユキに買ってあげる夏物服をどうするかという ここ数日の私の悩み所を一気に解決してくれそうだよ 橘:総~帥~何かパトロンみたいだねえ けど 現実問題 夏祭りなんて行ってる余裕あんのかねえ 水着だって ユキ君着てくれるんかなあ 天白:何 あの子は人を思い遣るいい子だ 私の用意したものを拒むはずがない ルカ:そこの 橘:あ あれ...ルカ君 どうしたの?何か...怒ってるみたいだけど 天白:こら ドアは蹴破るものじゃない ちゃんと手で開けて入ってきなさい ルカ:ふざけるな 天白 ユキに何を着せるつもりだ なんだ この怪しげな本は 橘:あ あ~ カタログが 天白:やめなさい ルカ 君だって これだを着たユキを見たら喜ぶに決まっている ルカ:お前と一緒にするな 冬解:これが...天白様のため息の理由... 藤原:くだらんな 焔椎真:ユキ 昼飯食いに行こうぜ ユキ:はい 焔椎真:何だ?風邪か? ユキ:うん...違うと思うけど...誰かが噂でもしてるのかな いや でも 何となく悪寒もするような... 焔椎真:やっぱ風邪なんじゃねぇのか?保健室で風邪薬でももらっとくか ユキ:うん そうしようかな でも 夏風邪なんて幸先悪いなあ