夏、以外の季節なら 大体好きだった。 今は、夏もそんなに嫌いじゃない。 だって、今だって、そう。 もうすぐ夏が来る。 瞼の裏にちらちらと、 目映い世界(けしき)が映り込む。 見慣れた街の景色さえ、 きらきら光って見えるから。 それで、そう――― 今夜の月は綺麗だね、と 私は彼女にそう言ったのです。