雲は高く流れ 落ちる豊(ゆた)かさの雨よ ただ ふわり 稲穂(いなほ)が揺れる 風に舞う恋心 秋は直ぐに駆け往く まるで稲光(いなびかり)の様に また一つ 蛍火(けいか)の如く 短い生を受ける 夜は長く 日は落ちる 秋の灯火消える影 それは儚く輝く命星(いのちほし) 旅立つ琥珀(こはく)の風音(かざね)に 幾度も 四季(いろ)を重ね 手を取り 繋ぎ また離す 優しさの道標(みちしるべ) 空は高く浮かび 恵む寂しさの雨よ ただ ゆらり 案山子(かかし)が揺れる 空に消ゆ宵(よい)の口 月は直(じき)に欠け往く 浮かぶ弓張(ゆみは)り月の夜 星 一つ 流れる毎に 願う 今際(いまわ)の夢 恋われずに 壊されずに 秋の篝火(かがりび)絶(た)えぬ夜月 いつか心に優しく火を灯(とも)す 暮(く)れ往(ゆ)く秋の夜の淵(ふち)に 色付(いろづ)く夢見風よ 触れ合い 求め拒まれる 恋して過ぎ去る茜(あかね) 貴女の命は 蛍(ほたる)の様に儚くて 愛しさの命星 そっと光りに輝き 流れ 恋に落ちる 過ぎ去るヒグラシよ さざめく一夜(いちや)の夢 暮(く)れない秋が暮(く)れるまで 優しさ包まれる 旅立つ琥珀(こはく)の風音(かざね)に 幾年(いくとせ)募(つの)る別れ 手を取り 繋ぎ 離さずに ふわり 此(この)花舞う 暮(ふ)れる秋の道標(みちしるべ)