[00:00.300] [00:15.300]メリ:「この世には、目には見えない不思議な力があるのです......」 [00:21.300]蓮子:「また古いオカルト?ムービー見たの?」 [00:23.300]メリ:「残念、オカルト?コミックよ。 [00:26.300]でも蓮子、目に見えない力は確かにあるのよ。 [00:31.300]なんだかわかる?」 [00:34.300]蓮子:「えっと......サイキック?フォース?毒電波?」 [00:40.300]メリ:「当たらずとも遠からずね。 [00:43.300]毒はつかないけど、例えば電磁波。 [00:46.300]赤外線に紫外線。重力なんかもそうね」 [00:50.300]蓮子:「ああ......そういうことね」 [00:58.300]メリ:「弱い力、強い力、重力、電磁力。摩擦にコリオリ、原子間力。 [01:05.299]私たちの周囲に働いている力は、人間の目には見えないものの方がずっと多いのよ。 [01:12.299]それを『不思議』と取るかは、人それぞれだけれど......」 [01:17.299]蓮子:「そういった不可視の力を見る瞳があったら、 [01:20.299]世界はどう目えるんでしょうね」 [01:23.299]メリ:「その人にしかわからないでしょうね。 [01:26.299]もしかしたら、それこそ世界を形作っているのが粒なのか波なのかどうかも、 [01:31.299]目で見えてしまうのかもしれないわ」 [01:34.300]蓮子:「高額な電子顕微鏡要らずだわ、羨ましい」 [01:39.300]メリ:「即物的なお返事ありがとう。 [01:42.300]でも、やっぱり私は思うのよ」 [01:46.300]蓮子:「何を?」 [01:47.300]メリ:「世界の全てを、たったひとつの答えで語り尽くせると蓮子は言うけれど...... [01:52.300]そこには不思議や、隠された秘密なんて、何もないんじゃないかしら」 [01:57.300]蓮子:「何も、ない......」 [02:00.299]メリ:「ええ。降り来る雪を貴方は綺麗だと言うけれど、 [02:06.299]その誰かの瞳には空気中のチリを中心に、 [02:10.300]氷が寄り集まったものにしか見えないのかもしれない。 [02:15.300]夕焼けを美しいと言う傍で、 [02:19.300]まったく違うおぞましい色を見ているのかもしれない。 [02:26.300]世界の在り方を全て理解してしまうというのは、 [02:30.300]不思議なことや、秘密や、心や夢すらも、 [02:34.300]何もかも理屈で分解してしまって...... [02:38.300]物理が全てを解き明かしたそこには、 [02:40.300]何も残っていないのかもしれないわ」 [02:52.300]蓮子:「それを貴方は、哀しいことだと思う?」 [03:00.300]メリ:「わからないわ......」 [03:06.300]蓮子:「でも、それは違うわメリー」 [03:09.300]メリ:「え?」 [03:11.300]蓮子:「目に見えるものでも、見えないものでもない。 [03:16.300]どこにもないものが、それでもどこかにあるのだと、 [03:19.300]私たちは信じているのよ」