歌词提供:迷途黑猫-橙 メリ:「ひも理論って、どんなことを研究しているのかしら」 蓮子:「珍しいわね。メリーが私の研究に興味を示すなんて。 難しくてよくわからないんじゃなかったの?」 メリ:「大切なパートナーが行き詰ってるんだもの。 聞き役らいにはなるわよ。 話すと意外となんとかなるかもしれないわよ」 蓮子:「そうね......つまるところ、 世界をどう見るかって問題なのよね、これは。 例えば、メリーの目は変な目よね?」 メリー:「歯に物をきせない言い方ありがとう。 確かに私の目は、他の人とは違うわ。結界の隙間を見る。 でもそれは、貴方も同じでしょう?」 蓮子:「私の目は便利なだけよ。 月と星を見れば、時間と場所がわかるだけ。 でも、メリーは違う。 貴方には、世界が穴だらけに見えるんだから」 メリ:「落ちたら夢の国に迷いそうな落とし穴だらけね。 京都はそこまでじゃないけれど......」 蓮子:「つまり、同じ世界にいるにも関わらず、 貴方と私では見ている世界が違う。 でもそれは、メリーだけが特別じゃない。 本来誰もがそうなのよ」 メリ:「観念論ね。見ている人の数だけ世界がある。 観測する主観が世界の在り方を決める」 蓮子:「そう。メリーが専攻してる、相対性精神学のようにね。 でも、超統一物理学は違う。 それは唯一無二の世界の在り方を決めるのよ」 メリ:「たったひとつの真実、ということね」 蓮子:「誰が見ているかどうかに関係なく世界は存在し、 誰が見てもひとつきりの形をしている、 というのが基本的な考え方よ。 超統一物理学は、『世界はこういうものだ』 とひとつきりの解答を出すための学問で、 超ひも理論はそれを導きだすための方法のひとつ。 ......っていう説明でどうかしら? かなり噛み砕いて話したから、うのみにされても困るけど」 メリ:「予防線を張ったわね。論文だと突っ込まれるわよ」 蓮子:「メリーが相手だからいいのよ」 メリ:「そうね。でもどっちかというと私はーー」 蓮子:「ストップ!」 メリ:「どうして?」 蓮子:「公共の場でメリーさんが良からぬことを言おうとした気配があったのよ」 メリ:「いやだわ、蓮子じゃあるまいし」 蓮子:「納得いかないけど、まぁいいわ。 説明、どうだった?」 メリ:「ひとつ、気になったことがあるわ」 蓮子:「気になったこと?」 メリ:「ええ。見える世界の在り方を決めるための研究。 でも、見えないものは、どうするんでしょうね?」