歌词提供:迷途黑猫-橙 店員:「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」 メリ:「ええ。......三人目はいないわよね、蓮子?」 蓮子:「見えない三人目がいるかもしれないわよ」 店員:「お席の方へご案内いたします」 メリ:「ありがとう。 ......喫茶店、混んでなくてよかったわよ」 蓮子:「師走だもの。みんな、落ちついてお茶を呑んでいられないのよ」 メリ:「そのわりには、私たちはいつも通りね」 蓮子:「秘封倶楽部は年中無休ですから。 しかし、一年も残り僅かだなんて信じられない。あっという間だったわ」 メリ:「夢のような日々は、過ぎるのも早いもの。 楽しければ楽しいほどに、ね。 蓮子はどうするのかしら」 蓮子:「クリスマスならメリーと過ごすって言ったじゃない。 正月はどうする? 東京の実家に帰ろうと思うんだけど、今年も一緒に来る?」 メリ:「そうじゃなくて、卒業後よ。ちゃんと考えてるの?」 蓮子:「あと八年くらい学生するわ ......いや、冗談よ冗談。そんなに怖い顔しないでよ」 メリ:「今絶対本気だったわよね」 蓮子:「教授のところに骨を埋めてもいいし、 二、三年くらいあちこちを見て廻るのもいいんだけど。 それ以前に、ちゃんと卒業できるのかなあ」 メリ:「ヒモの研究、うまく進んでいないの?」 蓮子:「うーん、ちょっとやそっとで成果が目に見える分野じゃないし。 あせってどうなるものでもないとはわかってるんだけど、流石にねー。 向いてないのかなぁ、ヒモ」 メリ:「そんなことないわよ。今だって蓮子はヒモみたいなものじゃない。 もっと自信をもっていいわよ」 蓮子:「そうね!って、今違う意味で言わなかった?」 メリ:「冗談よ冗談。ちゃんとひも理論のことを言ったのよ。 物質を構成するのは粒じゃなくて紐状である、よね」 蓮子:「厳密に言えば、超統一物理学閃光の超ひも理論研究、ね」 メリ:「蝶々が飛びそうね」 蓮子:「ロンドンで雨が降ったから? アレはカオス理論じゃない。 あれも確かに物理学ではあるけれど、 予測不可能なんて言っちゃう時点で私の目指しているところとは全然違うわよ-- って、ちょっと聞いてる?メリー?」 メリ:「店員さん、ダージリンひとつお願いします」 蓮子:「聞いてなかった!あ、私はカプチーノで。それと本日のケーキをひとつ」 メリ:「二つでお願いします」 店員:「ダージリンおひとつにカプチーノおひとつ、本日のケーキをおふたつですね。 少々お待ち下さいー」