咳を散らす口元 ふらつく足 眩暈 立ちくらんだ世界眺め 身体が求めてた 赤色の雫 満たされない欲望 抑えた こんな はずではなかった あの夜から とり憑いた 『彼女』 頭の中響く声 渦巻く悪意が蝕んだ “鮮血を求め、両手を真紅に染め上げろ! その甘美なる行為で、私の欲望を満たすがいい!” ——それは 抗う事の出来ない 支配された思考だったから…… 戸惑うように 雫を舐める私は 後悔の中 熱い鮮血の味を識った 動かなくなる“小動物”を ただ見つめては 冷めた自己嫌悪を巡らせた 汚れ散らす口元 赤く染まる 鏡 映りこんだ自分眺め 身体が覚えてた 赤色の果実 鳴り止まない 声は続いてた 苦く 錆びた鉄のように 広がる味 興奮覚えた この悪夢を祓おうと 招いた神父に手をかける “鮮血を求め、両手を真紅に染め上げろ! その甘美なる行為で、私の欲望を満たすがいい!” ——祈り 捧げる 光の十字 黒く深い闇が包み込む…… 貪るように 雫を啜る私は 本能のまま 歪む牙を突きたて笑う 冷たくなった“神父”を ただ見下ろして 熱く滲む涙を零した “鮮血を求め、両手を真紅に染め上げろ! その甘美なる行為で、私の欲望を満たすがいい!” ——耳を 塞いで慟哭しても 響き渡る 鳴り止まない声 狂いそうな世界で叫ぶ私は 背徳の中 罪悪感 もう戻らない 凍り付いた願いに 別れを告げに 赤く染まる涙を流した 终わり