揺れる影が闇夜に纏わり付いて透ける 一つ違わず付かず離れず歩く 明暗は瞬く間もなく決している 狂う程この剣に懸けて斬る 風駆け抜ける 死合う間合いに踏み込んでは 鯉口を切る その瞬間逃さないように 刃の映す姿 眼に焼き付けて 眼孔逸らさず 敵を貫いて 後の先飛び込む 思惑介せずただ斬り合う 掠める刃が薄紅色に染まって 砂巻き上げ鍔競り火花を散らせば 引き攣る貌、まるで嗤うかの様に 吐き出す息吹一つ 刻閃いて 乾坤一擲、一太刀に今懸ける 電光石火の如く袈裟懸け振り下ろし 断ち切る瞬間、奔る緋が煌く たとえ無念の傷にこの身が果てようと 主の桜を飾ることを願う 明鏡止水の如く 心に歪みなく 構える青眼、一分の隙もなし そう 光翔けるが如く振り抜く一太刀は 疾風迅雷、影さえも残さず 纏わり付く暗闇はこの手で振り払い 残心検め屍だけ残る 振り返ることも知らず無言に消えるのみ 過ぎ去る闇夜に桜吹雪が舞う