妹(いもうと)よ ふすま一枚 隔(へだ)てて今 小さな寝息(ねいき)をたてている、妹よ お前(まえ)は夜(よる)が 夜が明けると、雪(ゆき)のような 花(はな)嫁衣裳を着るのか 妹よ お前は器量(きりよう)が悪いの、だから 俺(おれ)はずい分心配していたんだ あいつは俺の友達(ともだち)、だから たまには三人で酒でも飲もうや 妹よ 父が死に 母が死に お前ひとり お前ひとりだけが、心の気がかり 明日、お前が心ていく前に あの味噌汁(みそしる)の作り方を書いて行け 妹よ あいつはとってもいい奴、だから どんなことがあっても、我慢(がまん)しなさん そして、どうしても、どうしても どうしても、駄目(だめ)だったら 帰(かえ)っておいで、妹よ 海 あなたと二人で見つめていたいの 青(あお)く青く澄(す)んだこの海 大きな波(なみ)がよせてきた時に あなたにすがりつきたいの 白(しろ)い白い波が 砂(すな)に消(き)えるとき 私の恋(こい)も消えてしまうの でも今は何も言わずにあなたと 見つめていたい この海 あの夕焼(ゆうや)けの海のあなたを 忘れることが出来(でき)ずに