炎 燃え盛る 炎 胸の火よ 山を越え 水を行き 疲れきた旅の空 佇む  太古から生きてきた  乾いた枝を集めて 火をつける 眠りかけた思い出に 両手をかざし 祈る言葉忘れても なぜ目を見張る 炎 さわいだす 炎 胸の火よ 橙に 紫に 青く野火 草の葉の形に 問いかける 指先は 無口な人を惑わせ踊り出す 時を忘れ見蕩れては 秘密を明かし  歯痒きこと炙り出されて涙うる 炎 消え残る 炎 燃える火よ 胸の奥の埋み火に息を吹きかけ やがていつわひときは大きな風を呼ぶ 炎 燃え盛る 炎 赤い火よ おわり