[00:30.40]故避追はえて、出雲國の [00:36.78]肥の河上在る鳥髮の [00:43.28]地に降りましき、此の時しも [00:49.82]箸其の河より流れ下りき [00:52.21]十拳劔抜きて [00:56.18]斬り散らす大蛇、姿無くとも [01:02.42]厳つ霊の果てに隠れて [01:08.88]量りの狭間に【故れ告りたまへる】 [01:12.07]逃げ込もうとも【まにまにして、如此設け】 [01:15.28]八重の草那藝は【備へて待つ時に、】 [01:18.26]斬り割く【其の八俣遠呂智(ヤマタノオロチ)】 [01:21.75]目醒めた筐の中焦がしゅく【神代もとほく】 [01:28.08]厳つ霊の糸の端【跡やふりぬる】 [01:34.48]交わした約束と駆け巡る【出雲八重垣】 [01:40.86]久方に舞い行く【伊豆毛夜幣賀岐】 [01:47.76]すさのをのみこと [01:49.78]祈るともなく越えて [01:52.83]波の八重垣 [01:54.45]思ひあれば [01:56.13]へだつる雲も無し [02:00.50]たづぬれば神代 [02:02.48]大和言の葉辿る [02:05.57]音に八重垣 [02:07.13]今宵ばかり [02:08.80]量りの狭間なり [02:13.93]信に言ひしが如来つ。 [02:20.18]乃ち船每に己(おのもおのも) [02:26.59]頭を垂入て、其の酒を飲みき。 [02:32.97]ここに飲み醉ひて留まり伏し [02:36.11]十拳劔抜きて [02:39.23]斬り砕く敵は、姿無くとも [02:45.70]映る厳つ霊を抜き去り [02:52.06]遍く剣は【故れ其の中の尾を】 [02:55.30]此処に届かず【切りたまふ時に】 [02:58.19]八重の草那藝は【御刀の刀毀かす】 [03:01.67]斬り割く【都牟刈の太刀あり】 [03:04.92]名残を、箱庭にて憐れむ【神代もとほく】 [03:11.39]神の代を偲びて【昔語りを】 [03:17.76]果たせぬ約束は今叶う【見るぞ畏き】 [03:24.14]三柱舞い征く【伊豆毛夜幣賀岐】 [03:31.00]すさのをのみこと [03:33.03]祈るともなく越えて [03:36.09]波の八重垣 [03:37.67]思ひあれば [03:39.33]へだつる雲も無し [03:43.72]たづぬれば神代 [03:45.88]大和言の葉辿る [03:48.76]音に八重垣 [03:50.42]今宵ばかり [03:52.13]量りの狭間なり