「『Mystique』」 文章、作曲、編曲:六弦A助 ボーカル、コーラス:櫻井アンナ クワイア:六弦アリス混声遺言合唱団 街(まち)を静(しず)けさが包(つつ)み、目覚(めざ)めると外(そと)は目(め)を疑(うたが)う様(よう)な世界(せかい)が… ---この街(まち)には私(わたし)一人(ひとり)しかいないのだ。 街(まち)は昨日(きのう)までの雪(ゆき)さえも残(のこ)さず、 私(わたし)一人(ひとり)だけを残(のこ)して消(き)えた。 <<朝(あさ)が来(き)て  夜(よる)が来(く)る  見(み)えるもの  見(み)えないもの>> "真実(しんじつ)と噂(うわさ)には背中(せなか)合(あ)わせの理(ことわり) 輪郭(りんかく)に惑(まど)わされ、見失(みうしな)う答(こた)えもあり 辿(たど)り着(つ)く事(こと)だけに囚(とら)われて、見失(みうしな)わぬ様(よう)に…" 足(あし)早(はや)に街(まち)外(はず)れの東(ひがし)の森(もり)を目指(めざ)した。 光(ひかり)差(さ)す森(もり)の中(なか)で日溜(ひだ)まりに導(みちび)かれ、 やがて森(もり)を抜(ぬ)ければ向(むか)い風(かぜ)の向(む)こうに…。 私(わたし)を拒(こば)む様(よう)な激(はげ)しい風(かぜ)か吹(ふ)き、 尽(つ)きぬ鼓動(こどう)がまた其(そ)れを吹(ふ)き飛(と)ばした。 激(はげ)しさを増(ま)した向(む)かい風(かぜ)の中(なか)、少(すこ)しの不安(ふあん)と降(ふ)り始(はじ)めた雪(ゆき)。 足(あし)早(はや)に丘(おか)を登(のぼ)り、あと少(すこ)しと言(い)い聞(き)かせ、 降(ふ)り注(そそ)ぐ焦(あせ)りがまた私(わたし)の背(せ)を押(お)し始(はじ)めた---。 街(まち)を静(しず)けさが包(つつ)み、丘(おか)の上(うえ)。其処(そこ)は目(め)を疑(うたが)う様(よう)な世界(せかい)が… ---この街(まち)には確(たし)かに、真実(しんじつ)がある。 (或る画家の手記より) 終わり