穀雨 春雨降りて百穀を生化すれば也。 霞の中煙るように降る晩春の雨は、新芽を育てる、恵みの雨。春雨が過ぎると八十八夜、ようやく気候が安定したかと思えば、遅霜で作物が台無しになることがあります。八十八夜は、霜に注意するため、特別に作られた雑節でもありました。 日本の暦は、季節に敏感な先人たちの知恵の結晶でもあるんですね。八十八夜は、茶摘みを行う、目安の日でもあります。江戸時代、将軍家の御用達とされた宇治のお茶は、茶壷に入れられ、はるばる江戸城まで運ばれました。「お茶壺道中」、籠が通ると庶民はひれ伏し、大名も道を譲ったといいます。本物の一品には、磨き高められてきた、歴史という物があるのかもしれません。行く春に咲き誇る春牡丹、華やかな彩りが眩しい季節へ誘います。京都には二十四の季節があります。